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農業技術進化系

微生物資材 生物資材が突破口のひとつに―― 化学農薬一辺倒の農業からの脱却を

近年、化学肥料や化学薬剤の大量施用により、農地の劣化や周辺環境の汚染が問題になってきた。また、薬剤耐性菌が顕在化し、それまで有効であった植物病害虫に対する化学薬剤の防除効果の減退も見られる。それらの具体的な施策として、有害生物の総合防除(IPM)が導入されつつある。微生物防除剤の使用はIPMを担う中核的技術として大きく期待されている。
 近年、化学肥料や化学薬剤の大量施用により、農地の劣化や周辺環境の汚染が問題になってきた。また、薬剤耐性菌が顕在化し、それまで有効であった植物病害虫に対する化学薬剤の防除効果の減退も見られる。それらの具体的な施策として、有害生物の総合防除(IPM)が導入されつつある。微生物防除剤の使用はIPMを担う中核的技術として大きく期待されている。 この10年足らずの間に数々の微生物防除剤が農薬登録され商品化されるなど、微生物を用いた防除技術は目覚しい発展を遂げた。しかしながら、我が国で農薬登録されている微生物防除剤の販売量は農薬全体のわずか1%にも達していないのが現状である。化学薬剤の種類は多く、重要な植物病害を対象とした剤がほぼ網羅されているが、それに対して農薬登録されている微生物防除剤の数は僅か18剤あるに過ぎない。この数だけをもってしても、微生物防除剤が化学薬剤に代わるまでには程遠いのが実情だ。この状況を打開するには、新たな効用を示す新規微生物を積極的に探索し、またそれらを微生物防除剤として農薬登録することを精力的に促進するか、あるいは現在農薬登録されている微生物防除剤の作用範囲を拡大する必要がある。

 最近の分子生物学的手法の目覚しい発展により、土壌中、植物の根圏・根面、葉面さらには植物体内に生息する膨大な数の微生物を網羅的に扱う研究が行なわれるようになった。微生物の特性や防除作用メカニズムの解明など防除剤利用に向けた研究も精力的に行なわれている。私たちの研究室では、とくに植物の生育を促進させる菌類(植物生育促進菌類/PGPF)について研究している。PGPFを接種した植物では、各種病害抑制がみられること、また、病原菌との競合や植物への全身的な抵抗性の誘導が関わっていることなどがわかっている。こうした研究から、微生物防除剤のより安定した防除法を見いだしたいと考えている。

 これまでに我が国で開発されてきた微生物防除剤は化学薬剤と比較して遜色のないものばかりである。これら微生物防除剤の種類が増し、病害の種類ごとにどの微生物防除剤をどのように使えばよいのかなどのきめ細やかな対応が可能になれば、微生物防除剤が生産者に浸透するまでにそれほど時間がかからないと思われる。幸いなことに、99年に農業法が変わったことで、環境への配慮から化学農薬一辺倒の農業生産活動からの脱却が余儀なくされた。これを好機としてとらえ、今後のさらなる研究によって、より多くの微生物防除剤が実用化されることを望みたい。

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