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【土門「辛」聞】
生産者の淘汰選別の契機となる、平成の米価大暴落
- 土門剛
- 第36回 2007年06月01日
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実効性乏しき「需給調整」文書
笑ってしまうのは、文書公表のタイミング。3月下旬といえば、農家が天真爛漫に作付け準備を始めている頃だ。主産地の北東北や北海道でも種もみの手当がすっかり終わり播種の準備が始まろうとしている頃でもある。そんな時期に、減反を呼びかける文書を出して何の意味があるというのだろうか。こう指摘すれば、文書作成は「2月だった」、いや「都道府県には同じ文書を1月に配布していた」などの弁解が計画課諸侯から聞こえてきそうだが、ここで問題なのは、文書が現場に伝わる時期に公表されたかということであり、文書を何回も出しても減反の実効がまるで上がっていないことである。
文書の発出方法も問題だ。農水省、全中、全集連の3者連名での文書発出となっている。実際の文書作成は計画課だろう。こう指摘すれば、計画課諸侯はあれこれと弁解してくるだろうが、生産調整は米政策改革大綱で20年度までに「農業者・農業者団体が主役となるシステム」を構築すると高らかに宣言、行政は生産調整事務から後方に退くと国民に約束したはずではなかったか。それなのに計画課諸侯は大綱の本旨に背くようなことを早くもやっている。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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