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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
「作って売る」だけの農業は半人前
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第6回 2009年05月01日
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農業は製造業~モノづくり産業~である。モノづくりの目的はお金を稼ぐことではない。その本質は「続けられる」ことにある。そのために必須なのは経営の自律だ。稼ぐことより大事になってくるのは投資、つまりお金の使い道のほうだ。そして農家が問われるのは、投資に値するイノベーションが畑で起こせているかだ。
つまり、農業の自律とは、モノづくりを続けるためのイノベーションと投資の連続の結果なのだ。
同じ農業でもコメ、畜産、野菜、果樹などのジャンルがある。なかでもイノベーションしつくされているのがコメと畜産だ。このふたつは国が進んでイノベーションしてきたため、誰でもある程度の生産が可能になった。逆に言えばどんな作り方をしても、あまり差が生まれない。これはモノづくりというより、過去のイノベーションをただ消費していると考えた方がいいだろう。
和郷園の主力である野菜では、イノベーションのレベルが個々の農家で異なり、その水準を高める余地が大きく残されている。作物別にみると、トマトとニンジンではやっていることが“デンキ屋とペンキ屋”ぐらい違う。違いが競争の原動力になっている世界では、個々が新しい目標を定め、そこに自分の腕とお金をつぎ込むことができる。成功した人はさらに上を目指す投資ができる。この循環が「続けられる」ことのひとつの裏付けを生む。
一方、コメや畜産のような完成されているジャンルでは、目標に対して自ら投資することが難しい。その証拠に、コメと畜産業者のほとんどは補助金がないと成立していない。
つまり、農業の自律とは、モノづくりを続けるためのイノベーションと投資の連続の結果なのだ。
野菜は「続けられる」素材
同じ農業でもコメ、畜産、野菜、果樹などのジャンルがある。なかでもイノベーションしつくされているのがコメと畜産だ。このふたつは国が進んでイノベーションしてきたため、誰でもある程度の生産が可能になった。逆に言えばどんな作り方をしても、あまり差が生まれない。これはモノづくりというより、過去のイノベーションをただ消費していると考えた方がいいだろう。
和郷園の主力である野菜では、イノベーションのレベルが個々の農家で異なり、その水準を高める余地が大きく残されている。作物別にみると、トマトとニンジンではやっていることが“デンキ屋とペンキ屋”ぐらい違う。違いが競争の原動力になっている世界では、個々が新しい目標を定め、そこに自分の腕とお金をつぎ込むことができる。成功した人はさらに上を目指す投資ができる。この循環が「続けられる」ことのひとつの裏付けを生む。
一方、コメや畜産のような完成されているジャンルでは、目標に対して自ら投資することが難しい。その証拠に、コメと畜産業者のほとんどは補助金がないと成立していない。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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