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生産者からも見限りムードが拡がりつつある。農水省にやってくる面々といえば、補助金狙いのさもしい根性の持ち主か、役人と同席することで無上の喜びを覚える奇特な考えの持ち主ぐらいだ。まともな生産者ほど、なるべく役所との関わり合いを避けようとしている。真っ当な大規模農業者なら、自己責任で経営の判断を下し、損となれば、生産調整方針も提出しないし、減反を押しつけられる地域農業推進協議会なる場にも出て行かない。そんな場にノコノコ出て行っても、売る力もなく自己責任の意識もない面々が場を取り仕切り、真っ当にコメ作りをしている者がただ損するだけなのだ。
前々号でも取り上げたが、3年前から零細兼業農家の増反傾向が目立ち始め、その原因は生活苦と指摘しておいた。むろん19年産も増反に走っている。新潟や北関東の商人系集荷業者の話を総合すると、種もみの売れ行きが前年より1割から2割も増えたという。この連中に、「産地づくり対策や品目横断的対策はもちろんのこと、金融、税制等の手厚い担い手支援策が受けられることを周知徹底しているか」と、行政が生産調整のメリット措置をアピールしても誰も信用していないのだ。
この文書を裏読みすれば、経営課諸侯は、19年産の大暴落が避けられないと判断、与党から責任を追及された場合に備えて、アリバイ証明よろしく何回も文書を発出したとしか思えない。しかも米価暴落の責任を、減反非協力者に押しつける経営課諸侯のさもしい根性が見てとれる。文書は、過剰作付けの解消に向けたポイントに、「生産調整非参加者の取込みにあります」を指摘している。裏を返せば、生産調整非参加者が米価暴落の原因と言わんばかりの屁理屈である。挙げ句の果てには、生産調整非参加者は、参加者の犠牲があって成り立つもので、生産調整のフリーライダーのようなものであるとの妄言を吐くこともある。人間の品性を疑うとは、この表現ではなかろうか。
生産調整非参加者には2つのパターンがある。売り先があってフル作付けに走るタイプと、売り先がないのに、ただ漫然と作れば誰かが集荷してくれるだろうと作り続けるタイプだ。当然、問題は後者で、このような者こそ減反に協力させることはやぶさかではないが、計画課諸侯が、真面目に売り先を開拓した生産者も、捨て作りの生産者も一緒にしたレトリックを展開しているのは残念なことである。
そもそも米政策改革大綱には「売れる米づくりを行うことを基本として、多様な消費者ニーズを起点とし、需要ごとに求められる価格条件等を満たしながら、安定的供給が行われる消費者重視・市場重視の米づくり」をうたっている。前者は、まさに「売れる米づくり」を体現した者である。このように真面目に努力した生産者までも減反に協力せよというのは、米政策改革大綱の本旨を理解できぬ者の妄言としか思えない。
本誌読者は、計画課諸侯が口にするこんな屁理屈に屈してはいけない。
前々号でも取り上げたが、3年前から零細兼業農家の増反傾向が目立ち始め、その原因は生活苦と指摘しておいた。むろん19年産も増反に走っている。新潟や北関東の商人系集荷業者の話を総合すると、種もみの売れ行きが前年より1割から2割も増えたという。この連中に、「産地づくり対策や品目横断的対策はもちろんのこと、金融、税制等の手厚い担い手支援策が受けられることを周知徹底しているか」と、行政が生産調整のメリット措置をアピールしても誰も信用していないのだ。
この文書を裏読みすれば、経営課諸侯は、19年産の大暴落が避けられないと判断、与党から責任を追及された場合に備えて、アリバイ証明よろしく何回も文書を発出したとしか思えない。しかも米価暴落の責任を、減反非協力者に押しつける経営課諸侯のさもしい根性が見てとれる。文書は、過剰作付けの解消に向けたポイントに、「生産調整非参加者の取込みにあります」を指摘している。裏を返せば、生産調整非参加者が米価暴落の原因と言わんばかりの屁理屈である。挙げ句の果てには、生産調整非参加者は、参加者の犠牲があって成り立つもので、生産調整のフリーライダーのようなものであるとの妄言を吐くこともある。人間の品性を疑うとは、この表現ではなかろうか。
生産調整非参加者には2つのパターンがある。売り先があってフル作付けに走るタイプと、売り先がないのに、ただ漫然と作れば誰かが集荷してくれるだろうと作り続けるタイプだ。当然、問題は後者で、このような者こそ減反に協力させることはやぶさかではないが、計画課諸侯が、真面目に売り先を開拓した生産者も、捨て作りの生産者も一緒にしたレトリックを展開しているのは残念なことである。
そもそも米政策改革大綱には「売れる米づくりを行うことを基本として、多様な消費者ニーズを起点とし、需要ごとに求められる価格条件等を満たしながら、安定的供給が行われる消費者重視・市場重視の米づくり」をうたっている。前者は、まさに「売れる米づくり」を体現した者である。このように真面目に努力した生産者までも減反に協力せよというのは、米政策改革大綱の本旨を理解できぬ者の妄言としか思えない。
本誌読者は、計画課諸侯が口にするこんな屁理屈に屈してはいけない。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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