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Opinion

中国への農産物輸出の障害はやはり手続きの煩雑さと関税

  • 土下信人
  • 2005年02月01日
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私は沖縄県名護市を拠点に農業のコンサルタント業務を展開し、特に組織培養技術を活用した苗生産・販売を行ってきました。一方、上海で農業を始めて3年になります。中国人の中にたった一人で悪戦苦闘の連続。「おいおい、ちょっと違うよ」と言い続けながら続けています。
 私は沖縄県名護市を拠点に農業のコンサルタント業務を展開し、特に組織培養技術を活用した苗生産・販売を行ってきました。一方、上海で農業を始めて3年になります。中国人の中にたった一人で悪戦苦闘の連続。「おいおい、ちょっと違うよ」と言い続けながら続けています。

 その、日々激しく変化する上海からのレポートです。

 日本から見ると、中国の農業は怒濤のように野菜などを輸出して来るので、恐ろしい存在のように見えます。しかし、中国農業は「三農問題」と言われる大きな問題を抱えており、圧倒的な強さばかり感じているのは誤りということになります。

 三農問題の中でも最も重要な課題の一つ、農民の所得を上げるためにどうするのか? ということに対して、中国政府は昨年から本腰を入れて矢継ぎ早に対策を打っています。一般の農民の所得が低いことは、大きな社会問題で、農民税などが全廃される方向で進んでいます。

 一方、都市住民の所得は高く、農村との格差が広がっています。特に、「上海バブル」と言われるように、上海では富裕層が急速に増えています。1億円近いマンションが瞬く間に売れるという現実もあります。自動車、プラズマテレビ、カメラ付き携帯電話などの普及はあっと言う間でした。

 また、上海人は面子を重んじますので、高いものでないと買わない傾向もあります。従って、高級レストランは値段が高いことが重要で、味はそこそこであればよいと考えられています。実際、そのような店は、上海人でいっぱいです。

 また、上海では日本の商品に人気があります。

 私が日本に帰ると言うと、「最新式のデジタルカメラを買ってきてくれ」と日本円をポンと渡す人までいます。

 日本ではやるものは、すぐさま取り入れたいという上海人もいます。私の行きつけの「ハルピン食堂」の老板(店主)は、浜崎あゆみのファンです。

 上海人は、日本の農産物の品質が良いことは十分承知していて、たとえば「日本のお米はうまい」と言います。裕福な上海人達は、すでに日本へ旅行していて、日本の良さを知っているのです。

 ですから、日本の農産物を上海に供給できたら、売れるのです。大きなビジネスチャンスがそこにあることは確かなのです。実際、そのような状況の中で、日本のリンゴ、ナシなどの果実が輸入され、販売されています。

 が、……なかなか難しい部分もあります。それは、中国に輸入をする際の手続きの煩雑さ、関税、増値税(日本で言えば消費税)の問題です。

 上海を見ていても、セリ方式の市場はなく、結局は、仲卸的なところへ販売することになるのですが、個人で輸入し販売するというのは、やはりさまざまな難しさを伴うものです。結局は、販売ルートがキチンとないという問題に遭遇します。

 たとえば、上海で「日本的で売れるな」と思うものはイチゴやメロンなどの果物ですが、調べてみると、イチゴの関税率が38%。増値税が約10%(会社や品目によって違う)。結局は50%近くの税金がかかることになります。メロンの場合は、関税率が28%。これもイチゴと同じような問題があります。

 中国が日本の関税を低くすることを要求するならば、中国における関税も減らすように、日本政府は交渉すべきです。

 日本人が、上海で農業をする……「made by Japanese」は、新たな段階に来ていると思います。これについては改めてお伝えします。

※次号より、土下信人氏による上海レポートの連載を開始します。ご期待ください。

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