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早まるか「離農ピッチ」
総選挙を前にして政府与党が打ち出すコメ対策は、実効ある対策はさほど期待できないとみた。財源措置や対策を打ち出すタイミングなどで速効性のあるものはあまり期待できないからだ。
集荷円滑化対策の発動、政府米の積み増し、減反強化、収入減少緩和対策(ナラシ対策)の発動などが浮かび上がってくるが、実現するとしら集荷円滑化対策の発動だろうか。減反強化をお題目のように叫んでみても、速効性があるものではない。速効が期待できる政府米の積み増しは財源問題がネックになる。
結局、選挙戦前は政治家の「口先介入」で米価を現行並みに維持できたとしても、選挙戦が終われば政府米売却も予想され米価はスルスルと下落を始めるだろう。この春に、突如、暴騰したような相場展開はないとみるのが常識。ただ売り手の強気な価格提示に買い手が控えるようであれば、事情は別だが、そうならないとすれば、競馬なら、選挙前までの「先行逃げ切り型」の相場展開になるような気がしてならない。
かねてからやがてコメは高騰すると公言してきた。指摘するまでもないが、高齢化でコメ作りをやめる農家が増え、それを補う生産者が圧倒的に不足するからだ。これに肥料など資材費アップで営農意欲がそがれて離農に追い打ちをかける。
たとえば肥料費のアップ。オール14の場合、平均1俵1300円程度のアップか。10aあたり3俵使うとして約4000円のコストアップ。同10俵とれたとして1俵400円になる。これに農薬や燃料代や包装費などのアップ分を加えると600円から800円程度のアップになろうか。これを転嫁できないような米価でおさまるようようであれば、離農ピッチが早まるだけである。
米価反騰のシナリオは今も健在だ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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