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【海外レポート】
ヒール宮井のNational Farm Machine Show見聞録2009[後編]
- 西南農場 代表取締役 宮井能雅
- 2009年07月01日
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米国農業の動きを先読みすることは重要
今回、大失敗をしてしまった。4つのセミナーを拝聴する予定だった日程が変わっていたのだ。昨年12月にウェブ上でツアーを組んだが、開催日の変更があった。今までそのようなことはなかったので、米国農政最新情報は1年間お預けとなってしまった。
ただ、数名の知り合いの米国人農家がいたので、大体のことは聞いてきた。
オバマ政権になりグリーン政策を進める。太陽光、風力発電、バイオ燃料の推進である。この中でバイオ燃料の推進は前政権から引き継がれているが、連邦法でエタノールのガソリン混合率は10%(州単位ではそれ以上の値)を15~20%に引き上げると発言していた。つまり現在のコーンから出来るエタノールが50~100%増えることになり、日本の輸入業者や畜産農家にどのような影響を及ぼすのか考える必要がある。
大豆も同じである。
昨年の国産納豆用大豆の価格は1年前の2倍であるが、豆腐用の大粒大豆の価格は、ほとんど変わらなかった。日本の大豆生産者も米国農業・農政に関心を寄せる必要はありそうだ。
シンジェンタのブースでは日本でも有名な除草剤タッチダウンGMの説明をやっていた。実はこのタッチダウンはRR(ラウドアップ耐性作物)にも使用できると説明していた。では、ラウンドアップとタッチダウンとでは、除草能力にどれだけの違いがあるのかの話になるが、それは微妙に対象雑草が違うので、一概には言えない。
一方、モンサントのブースは子会社の種子会社がメインになっていたので、目立たなかった。近い将来、旱魃対応、高収量、耐塩性、センチュウ耐性の品種が出てくるのは知っていたので、特段、驚くものはなかったが、しかしこの技術を北海道で使えないもどかしさを感じた。
昨年、米国産大豆はGMが96%になった。つまりNON-GMは4%で、たった300万t。それでも日本産の20倍の収穫量である。この数字をGMに変える予定はないのか? と聞いてみたところコストが掛かるので「やらない」と明言された。つまり直接可食用の大豆のGM化は考えていないということになり、それが分かっていながら、私が「日本の食用大豆もGMだ!」は現実性に乏しくなるが、何が起きるか分からないというのが世の常であろう。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
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