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視点

「直売所甲子園」が目指すもの

今や農林水産物の直売所は、日本中に1万数千カ所あるといわれる。全国直売所研究会は、それらの直売所が互いの情報を交換し、経営の向上を図ることで、農業の自立発展や地域の活性化が促されることを支援している。
 今や農林水産物の直売所は、日本中に1万数千カ所あるといわれる。全国直売所研究会は、それらの直売所が互いの情報を交換し、経営の向上を図ることで、農業の自立発展や地域の活性化が促されることを支援している。

 一概に直売所といっても、その特徴は様々である。ところが個々の直売所の運営を担っているのは地元の高齢者というケースが多く、彼らに「ここの直売所の特徴は?」と尋ねても、「ただ一生懸命やっているだけで別に特徴などない」という返答が多いのが現状だ。


直売所本来の姿を再認識すべき

 直売所には地域色が色濃く滲み出ているだけでなく、同じ地域においてもそれぞれの直売所が異なる「強み」を持っているはずである。だが、自らを客観的に見る機会がないために、運営サイドはその個性を認識できないでいる。

 また、最近増えつつあるインショップ型の「直売所コーナー」では、「納める人」と「売る人」が明瞭に区分けされ、先祖帰りしているようでもある。これではスーパーと変わらない。消費者が求める直売所とは、本来そんな姿ではなかったはずだ。

 そこでこの夏、全国直売所研究会は「直売所甲子園2009」というイベントを開催する。全国500カ所の直売所に参加していただき、売上だけでなく運営の姿勢を競い合うことで、自らの強みを認識し、あるいは改善すべき点に気付いてもらいたいのである。

審査項目には、消費者との信頼関係はもちろん、農業者の働きがいや地域への貢献度、雇用環境の健全性などが含まれている。9月まで予選審査を行い、10月には優勝直売所が決まる予定だ。


食と農の繋がりをどう伝えるか

 私自身も青森県で「道の駅とわだ」の運営に携っているが、以前はただ売れさえすればいいと思っていた。しかし、食と農の繋がりの重要性に気付き、それを訴求するイベントを実施するようになってからは、以前にも増して地域の支持を集めるようになった。

 たとえば当地ではナガイモの作付けが多い。地元では気にもかけない存在だが、それが自慢になるような仕掛けを次々に展開している。ナガイモが当地で作られるようになった理由を追求していくと、地域の歴史や風土も学ぶことになる。地域を知れば、そこで作られる農作物にも愛着が湧く。それを実際に家庭で消費してもらうよう、提案に工夫を凝らすのである。

 これまで直売所は社会のなかで小さな存在だと思われてきたが、直売所を核に地域が大きく活性化するケースも現実に出てきている。これから淘汰もあるだろうが、それぞれの直売所がライバルを知り、自らの強みを知ることで、切磋琢磨してほしい。 (まとめ・土井学)

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