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編集長インタビュー

ニュージーランドの農業はいかにして規制改革を乗り越えたか

 また、政府の介入がなくなったおかげで、キウイやワイン、野菜、果物、エコツーリズムなどの新しい産業も出てきました。野菜果物類はこの10~15年で300億ドルの産業に成長しています。

 このようにニュージーランドは農家も政府も強い信念を持って、哲学に基づいた農業をやっています。市場から発せられるサインに忠実に、需要に合ったものを生産するということ。そして農家自身がオーナーシップを持ち、それを高めることを実行しています。

昆 ニュージーランドでは農業者自身が主人公であり、なおかつ国を担っている自負があることを、共感を持って聞かせていただきました。

 我われはニュージーランドと同様のことをできるかわかりませんが、少なくともその精神、哲学を学ばなければいけないと感じました。これまで日本の「農家」とは生活の概念であり、暮らし方であって、ビジネスではなかったわけです。ビジネスとは経営者がいるということ。経営者とは、どうしたらマーケットに自分を選んでもらえるのかという競争を考える立場なんですね。

 ところでニュージーランドの農業経営者たちは、保護されていた状況からどうやって困難を乗り越えていったのでしょうか? やるべきことはわかっていても、人は楽なことから逃れられないものですが。

ポルソン 何が牽引要因になったかというと、このまま負けてはいられないという危機感ですね。政府の過渡的な財政支援はあっても、そんなに手厚くはしてくれないことがわかりましたので、競争原理が変化を生みました。各自が死に物狂いになって経営改善に取り組んだわけです。たとえば家畜の品種を改良したり、長期輸送に耐えられる加工・パッケージを開発したりと、様々なイノベーションを手がけました。

 保護主義の農業を続けている国は、農家の打たれ強さというか、打たれても立ち上がってより良くする能力を過小評価していると思いますね。日本にもハードコアのプロ農家が存在していて、機会を与えられれば素晴らしい能力を発揮すると思うんです。やはり競争によってテストされなければ、能力は表に出てこない面があると思います。

昆 おっしゃる通りです。保護農業を乗り越えたニュージーランドの農業経営者として、日本の農業経営者や政治家たちに強く言っておきたいことは、ほかにもありますでしょうか? 

ポルソン 政治家の方は勇気を奮い起こさなければならないと思います。私は、いわゆる重力の法則のように、世界が進むべき方向は誰にも変えられないと思っています。いろんな国が農業の戸数や生活様式を守ろうとする政策を打ち出しても、農家の進化はとめられないと思っています。この先、農家の戸数は減るということです。やはり大きな農地のほうが使いやすいし、新技術や新商品も出てきます。WTOも結局は保護主義を撤廃させる方向へ動いていくことは間違いないでしょう。2国間での自由貿易協定の締結も進んでいます。

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