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編集長インタビュー

ニュージーランドの農業はいかにして規制改革を乗り越えたか

 日本の皆さんに言えることは、いずれそうした変化が押し寄せたとき、受身であることも選べるでしょうが、そうではなくて未来を先取りし、自分でそのニーズを満たす方法を考えることもできると思うんです。消費者のニーズを見て、自分の持っている資源、気候や土壌、何が私に適している作物なのか、どこに私の未来はあるのか、世界で競争できる作物は何なのかということを考えるべきです。

昆 その通りですね。 

ポルソン それに、あまり悲観的になることもないと思うんですよ。たとえば生乳ならば、何があっても日本国内で必ず生産は続いていくはずです。冷静になって360度周囲を見回して、白紙から計画を立てて、それを実行することを考えればいいと思います。そのためには投資も必要ですし、容易なことばかりではないかもしれませんが、どうせリスクを伴う事業なのだから、いろいろチャレンジすればいいと思うんです。


自給率向上政策を論ずるより世界を見据えた戦略を

ポルソン それともうひとつ、具体的な可能性として、ニュージーランドと日本の農家とのパートナーシップということもあります。たとえばゼスプリという会社は、キウイの周年出荷を実現するために、季節が逆の日本で600ほどの農家に生産を委託しています。また、フォンテラという乳製品会社も、将来的には日本の酪農家にお願いして、日本で乳製品を生産することに興味を持っています。

昆 日本国内にマーケットを作り、戦略的に輸出を広めることを実践しているわけですね。

ポルソン 日本では食料自給率の向上が叫ばれているようですが、我われニュージーランドのように400万人の人口で4000万人分の食料を作っている国でさえ、自国内で生産効率の悪いものは輸入しているわけです。ですから日本の政治家にも、何が何でも自給率の数字を守るという政策は見直していただきたいですね。日本の消費者が好む安全で高品質な農産物の条件はわかっていますから、頼まれれば作ります。

 すでにニュージーランドは中国と自由貿易協定を結びましたし、韓国とも検討中です。一方で、日本とニュージーランドの貿易は、これ以上先に進まない状況に陥っています。このまま放っておくと、ほかの国と貿易関係を結んで、そちらに優先的に流れてしまうリスクもあります。それを日本の政治家の方たちには申し上げたいですね。

昆 おっしゃる通りですね。日本の自給率問題は政策課題になっていて、そのことは本誌も批判しています。少なくとも先進国において食料自給率問題を政策にしている国はほかにないんです。数年前までは韓国も食料自給率を語っていましたが、状況が変わり、今や日本だけが取り残されたという危機感を持っています。韓国は、たとえばマダガスカルや沿海州などに、国ではなくて民間の資本が農業投資を進めています。日本はせっかく世界中に和食のブームが起こったり、高い農業技術を持っているのに、みすみすチャンスを逃しているんですね。守ること以外何もしておらず、安楽死以外はない農業政策をとっているわけです。

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