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坂上隆の幸せを見える化する農業ビジネス

一足飛びで考える

ビジネスの管理サイクルのひとつに「PDCA」がある。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の順番に沿って、計画をスムーズに進めるものだ。通常の物事はこのように一つ一つを積み上げていくことが重要とされている。しかしビジネスにおいてある程度のゴールが見えているのなら、緻密に一歩一歩進むのではなく、ゴール地点まで一足飛びに進めてしまった方がいいこともある。
 ビジネスの管理サイクルのひとつに「PDCA」がある。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の順番に沿って、計画をスムーズに進めるものだ。通常の物事はこのように一つ一つを積み上げていくことが重要とされている。しかしビジネスにおいてある程度のゴールが見えているのなら、緻密に一歩一歩進むのではなく、ゴール地点まで一足飛びに進めてしまった方がいいこともある。


全体像を明らかにする

 つまり大まかにシミュレーションして、一気にPDCAにおけるActまでやってしまうのだ。そこで必ずエラーが出てくる。その反省をふまえて2回目で精度を上げて計画を達成する。少しずつ積み上げている限りゴールはなかなか見えないものだが、一度最後まで取り組めば「自分はこういうことがやりたかったんだ」という全体像が明らかになる。

 昔、農薬費の削減のために緑肥を作っていたころ、たまたま畑を見た酪農家から「飼料として売ってほしい」という要望を受けた。話しているうち、その人以外の畜産農家にも需要がありそうなことに私は気づいた。当時は1haぐらいしか作ってないような状況である。本来、この規模でPDCAを回し1度成功させ、顧客開拓をしながら少しずつ面積を広げていくのが定石だ。しかし、そのときの飼料生産の目的は、「野菜部門での余剰経営資産や人材、機械を活用して新事業が展開できないか」という仮説であった。私はそのゴールをいち早く検証したかった。そのため、少しずつ面積を広げるプロセスを踏まず、一足飛びに進めてもよいと考えた。

 注文のない状態で私は、12ha分のデントコーンを作付けした。大規模な作業体系を1年でかなりの程度習得できた。収穫前に酪農組合を訪ね、その場にいた6~8人に話をした。どれだけ欲しいか、いくらならお金を出すかと問いかけた。結果、1日の営業で植付けた12haの全量、金額にして500万円弱の商談が成立した。本来はさまざまなプロセスを経て、適切な量と値段を設定するものに違いない。だが、当時の私は値段のつけ方が分からなかった。実際、比較できる商品も市場に存在しなかった。御用聞きに回った結果、お客さんが明確なゴール地点を作ってくれたのである。

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