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過剰の対策、欠乏の克服

水田中干しと穂肥の関係

 先述の通り、中干しには土壌が乾くことによって地力窒素が溶出してくるというメリットもあります。乾土効果によって出てくる窒素は10aあたり1kgほどで、その度合いは年ごと、または水田によっても異なります。溶出する成分量が少ないと感じる方もいるかもしれませんが、この窒素はじわじわと出てくるものなのでイネによく吸収されます。さらに、このメカニズムが働くのは、実は稲作の重要なポイントである穂肥の施用と同じ時期です。だからこそ、施肥がまったくないか、あるいは不十分にしかできなかった時代においても私たちの先祖は、中干しによって土から窒素を出し、イネの生育を次のステージにつなげるということを経験から学び実践していたわけです。

 しかし、中干しによる水田土壌からの窒素溶出だけで可能な収量増は限られています。そのため、さらに人為的施肥を盛り込むというやり方をしたのが、現在の穂肥の考え方のベースになっています。近年は多肥性の品種が栽培され、4kg程度の窒素とカリを施すことが通例になっていますが、イネが生育した田に10aあたり2袋程度の肥料を均一に撒く作業を土日の休日でやるのが面倒だということから、穂肥を施さないやり方、つまり元肥一発方式がどんどん普及してしまっている現状もあります。たしかに夏の暑い時期に重い肥料を撒く作業は大変ですが、穂肥に大きな意味があることは事実として認識しておくべきでしょう。


中干しと穂肥施用の注意点
イモチ病にも警戒が必要

 中干しとそれに続く穂肥施用には注意点もあります。中干し期間については、東北や北陸では5~10日間ぐらいと短く、西南団地では10~20日ぐらいとされています。一般にやせ田は短く、粘質土のところでは長く行なうのがいいと思われます。中干しの後にまた水を入れて、その後、湛水にするというのは根が変化に対応できないことが考えられるので、湛水と掛け流しを繰り返していくのが理想的です。水管理にそれほど手間をかけられないなら、かけ流しが良いでしょう。

 穂肥については、時期が遅れると穂長の短いイネになってしまいますので、肥効と量の調節にあまり神経を使わなくても失敗しない方法として、有機肥料のぼかしタイプを用いるのが比較的安心なやり方ではあります。

 穂肥を施した後に問題になるのは、窒素を吸収してイネの体内に可溶性窒素が増加し、イモチ病がその病斑を増やすことです。今年のように梅雨が長引く年は特に注意が必要です。イモチ病の問題はないと思われている西南暖地のイネにおいても油断は禁物です。もし、現段階で葉イモチが広がっているようなら出穂期の防除は必須です。

 ここまで紹介してきたように水田の慣行栽培体系は一つひとつにメカニズムがあり、イネと水田土壌、灌漑水の組み合わせに人の知恵が上手く組み合わさっています。こうしたことを踏まえ、最後まで気を抜かずにやっていきましょう。

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