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新・農業経営者ルポ

地域を味方につける、サービス業としての農業

各地で集落営農組織が本格的に動き始める中で、彼は何を想う?「彼」とは、すでに20年も前から地域集落の農業生産および受託サービス業務を行ない、農家の支持を集めることで経営規模を拡大してきた、新國文英氏のことである。いたずらに対立もせず、かといって取り込まれたりもしない―。柔軟な姿勢と、頑固な信念を両立しながら八方を満足させる新國流の経営哲学とはいかなるものか。
 会津盆地は一面雪に覆われていた。待ち合わせ場所のJR只見線・新鶴駅前で待つこと10分。なぜか湘南ナンバーの車に乗って颯爽と現れた(有)グリーンサービス代表の新國文英さんに、ナンバーのことを尋ねてみると、「うん。私、湘南ボーイだからね」と、いたずらっぽい笑顔が返ってきた。新國さんは、むろん生粋の会津人である。

 叔父さんの所有物だという“湘南ナンバー”で、新國さんが案内してくれたのは、町営温泉施設の「ほっとぴあ新鶴」だ。施設の一角には、新國さんが中核になっている会津夢農場ネットワークとグリーンサービスが事業主体のプラントが建つ。ここで、このほっとぴあ新鶴、そして学校給食センターから出る食品廃棄物、平たく言えば生ゴミを肥料化しているという。新國さんが言う。

「ウチの会社では肥料化するのに不可欠な米ぬかを提供しています。ここで作った肥料を土に戻して野菜を作り、それらが再びここや給食センターに納められていくんですよ」

 さて、グリーンサービスの本拠地・鶴野辺に到着すると、まず目につくのがライスダムだ。会津のシンボル磐梯山を背景に、3基の巨大なライスダムが銀色に輝いて、抜群の存在感を示している。これはグリーンサービスが生産した米を籾のまま乾燥・貯蔵する施設だ。また、ライスダムの脇には、5基の乾燥機が設置されているライスセンターもある。ライスダム、ライスセンターともに自前のものだ。だが、設備は自前といっても、自らの作業はあくまで後回し。同社の経営の中心は生産受託であるため、委託農家の籾すりを何よりも優先させるのだという。

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