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新・農業経営者ルポ

地域を味方につける、サービス業としての農業

 「我われは農地管理会社であると考えたのです。農地管理会社である以上、耕作者がやるべき仕事はすべてやる。そういう姿勢が評判になって、借地もどんどん増えてきました」

 グリーンサービスに土地が集まってくる理由を整理すると、以下のようになるだろう。

 まずは、法人であることによる信頼感だ。法人であれば、たとえ新國さんが動けなくなっても、誰かが代わりに仕事をする。つまり、貸借関係に安定性と永続性を持たせることができるのだ。個人間の契約では、これらが担保されない。

 もう一点は、農地賃貸借契約書の作成や申請といった事務管理、堀払いまで含めて、耕作者がやるべき仕事はすべてグリーンサービスがやるため、貸し主は一切手がかからないということ。

 そして、減農薬、減化学肥料、籾殻の堆肥化等をいち早く取り入れたため、土壌が改良されること。要するに、貸す前よりも貸した後の方が、田圃がよくなってしまうわけだ。

 こうした戦略が奏功して、88年にはみごと黒字転換を達成。91年に農事組合グリーンサービスに名称を変更。さらに2003年に、現在の有限会社グリーンサービスへと再度の名称変更を行っている。この名称変更にも、新國さんたちの深謀遠慮の跡が滲んでいる。

 「最初の名称には集落名が入っていたので、桧の目の仕事しかしたがらないと誤解され、他の集落からの仕事が進めにくくなりました。そこでまず、集落名を外しました。また、法人名に『サービス』を入れたのは、我われはあくまでもサービス業をやっているんだという考え方を前面に押し出したかったからです」

 「農業サービス事業体」なる概念こそあれ、それらが顧客のニーズに応えられるものを提供しているかは疑わしい農業界において、サービスに徹底する姿勢を持っていたことが成功の鍵だったと、筆者は見る。

 グリーンサービスのHPには、「会社のポリシー」と題して以下の三項目が挙げられている。

・顧客本位による経営
・農業はサービス業という想い
・感謝して今日もにこにこ働こう

 まるで自動車ディーラーの社訓のようだが、従来の「やってやる」作業受託から「やらせていただく」サービス業へのコペルニクス的転換が、みごとに表現されている。

 それにしても、なぜ新國さんはこのような発想を持つことができたのだろうか?

 「私自身が作業委託をしたかったからですよ。私は稲作よりもキュウリや切花を中心にやりたかったから、田圃は誰かに委託してしまいたかった。だから、委託者がやってほしいことがよくわかっていたのです」

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