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新・農業経営者ルポ

地域を味方につける、サービス業としての農業

 つまり「農業はサービス業」の根っ子には、自分自身のニーズがあったわけだ。新國さんは、自ら抱えていた切実なニーズを自らの仕事に転化したからこそ、顧客のニーズを見誤ることがなかったのだ。

 地域の農家からの支持を集める一方で、農協との関係はどうだったか。恐る恐る聞くと、「悪くないですよ。私、ケンカ嫌いですもん(笑)」と、新國さんは微笑んだ。

 「コメの何割かは農協さんに出荷し、その買い手も紹介しています。その代わり、というわけではないですが、ウチで直販するコメを農協さんの低温倉庫で保管してもらっています。自社で低温倉庫を所有するのは経営効率が悪いですからね。お互いにメリットがあることなので、いい関係を築けていると思いますよ」

 とかく軋轢を起こしがちな法人経営だが、新國さんを中心としたグリーンサービスは、流行の言葉で言えば「WIN│WIN」の関係を地権者、作業委託者、あるいは農協と築くことができた。そして、見事に周囲に受け入れられている。だが、さらなる秘訣があるのだと言う。

 「早々に特別な存在になってしまうことです。周囲から『あそこがやるなら仕方ない』と思ってもらえるようになれば、問題は何も起りません」

 言うは易し、行うは難し。新國さんが特別な存在になるまでにどれほどの勉強をしたかは、事務所を一瞥すればわかる。農業関係のみならず、コンピュータから経営学に至るまで、さまざまなジャンルの本という本が壁一面に並んでいた。


無駄な軋轢は起こさずにやりたいことをやるだけ

 法人経営の課題として耕地面積の拡大とともに、冬場の収入確保の問題を解決するため、グリーンサービスは地元で露地栽培している作物をハウス栽培。品目は菊、ネギ、クキタチ。いずれもマーケットを見据えた栽培方法を採用している。

 白眉はハウス軟白ネギの『天女物語』だ。ハウスに案内してもらうと、周囲の雪景色とは裏腹に、内部は無加温でも汗ばむほど。

 「露地のネギは、雪が降り始める直前の11月ぐらいまでしか出荷できませんが、ハウスだと12月から3月の間に出荷できる。仕事の都合と市況に合わせて自在に出荷時期を決められるメリットは大きいですね」

 現状の価格は露地物と大差ないが、新たな販路を開拓してブランド化を図って行きたいと新國さんは夢を膨らませているのである。

 取材陣を会津若松駅まで車で送ってくれる道すがら、新國さんはこんな話を披露してくれた。

 「私は祖父から、よその家の噂話を絶対にするなと教え込まれました。会津夢農場ネットワークのメンバーも、他のメンバーの噂話をすることはまずありません。集落営農で無理やり組織を作るより、こうしたゆるやかな繋がりを持ったネットワークをベースに事業を立ち上げていく方が、絶対にうまく行くんですけどね」

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