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土門「辛」聞

唖然!新潟コシばかりが政府買入される裏事情

 次に、17年産ルールのチェックに移ろう。「出回数量比」と「過去の政府買入実績数量比」のウェイトは大幅圧縮された。とって代わったのがコメ価格センターの「上場計画数量比」である。ウェイトは70%。マーケットを反映せぬ同センターの統計データを取り入れたのは釈然としない。その時点でもすでにセンター価格は市場実態を反映していないからだ。それはともかく17年産の政府米入札は4回実施された。買入れ数量は合計38万t。各産地まんべんなく落札する結果となった。

 さて疑惑の18年産ルールだ。今度は「上場計画数量比」に代わって「落札実績数量比」を取り入れてきた。しかも80%のウェイト。同センターの機能不全ぶりは、いよいよ深刻になっていた。そんな状況下で落札実績を取り入れただけでも大問題だが、年産の振り分けがいかにも恣意的だ。スムーズな回転備蓄を実現するなら直近の18年産だけを参考にすればよい。ところが18年産はなぜか20%だった。

 新潟コシヒカリ一般の年産ごとの落札実績の数字を並べてみよう。16年産は99.5%だった。全国平均85.2%を上回る数字だ。17年産は全国平均49.9%の中で44.3%。北海道や青森を除く主産地の中ではトップグループの数字。疑惑の18年産はどうか。新潟コシヒカリは第17回入札(18年12月20日)時点で2万367tの上場でわずか734tの落札。落札率は3.6%の落札率だ。これで18年産に20%と割り振ったワケがおわかりになろう。


ポチのようについてくる新潟県だけに餌を投げ与えた

 当事者もイカサマぶりを半ば認めるところ。それらしきことが先の「政府米買入れの考え方」なる文書から読み取れる。文書の末尾に括弧書きで「19年産買入れに向けた検討方向」なる項目をあえて付記してきたことである。一読爆笑、18年産の政府米販売実績を19年産買付けルールから外そうとしている。万引きを見咎められた子供が、盗んだものを元の位置に戻したようなものではないか。特別扱いの新潟コシヒカリにはアゲインストの風が続く。「落札数量実績比」に19年産が対象になれば、先の新潟産コシヒカリの超低落札率3.6%がズバッと利いてくる。役人の裁量の余地が働き、往々にして不透明買付けの温床となる「銘柄を指定しない買入れ」も実施しない方向とある。新潟コシヒカリの救済買付けは期待できない。

 次なる疑問は入札価格である。担当者にチェックを入れても「答えられません」の繰り返し。「公金を使っての買入れではないか。しかも自ら市場へのシグナル云々と言っているではないか」の公式論を振りかざしてもノーコメント。でもライス・ビジネスにちゃんと出ていたぞ。新潟コシヒカリの平均落札価格は1万6425円(60kg)。同じ時期の米価格センターの落札価格は1万8854円。前者は経費抜き、後者は経費込み。しかも落札率7.8%で参考にはならないが、あれやこれやを勘案すれば政府米落札価格は1000円ぐらい安いか。新潟コシヒカリの実力を示す価格かもしれない。同紙には「(全農は)売れ残って大量値引きで処分するよりマシ、と判断したのだろう」との解説があった。

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