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イカサマ・ルールによる買入れは一定の効果があった。買入れ直前の民間相場は1万7200円から1万4000円ぐらい。買付前に十分「想定内」だった1万7000円割れも入札後は下げ止まったのだ。でも所詮はカンフル効果である。販売具合を示す販売進度から判断すると、売れ行きは極めて悪く、春以降に早くも再買入れコールが起きてくるかもしれない。
今回の救済買付けは、1年間の備蓄を経て市場に放出される。保管料や金利もかかる。一方で古米評価も考慮しなければなるまい。あれこれ勘案すると買入れ価格程度の放出と相成る。相場に与える影響は無視できない。放出価格が相場をリードする事態も十分に想定される。
かくのごとくのイカサマ・ルールを作らせた張本人は誰か。疑われるのは全農しかない。イカサマ・ルールによって大きな利益を得たからだ。ライス・ビジネスの解説に耳を傾けよう。
「全農は農協組織の全国統合を推進すると同時に、『新生全農米穀事業改革』のもと、全国の農協の米販売一本化を進めている。すべての米販売を全農本部が仕切る体制を構築するため、センター入札への全農一本上場、各県本部の独自販売禁止、相対取引における実需者(量販店等)と全農本部との直接契約などを推進しているが、これにいち早く賛同し、全面的に服従したのが新潟県である。現在、新潟は全農と一体化している」
全農が再起をかけて練り上げた「新生全農米穀事業改革」。わかりやすく沈没船からネズミを逃走させない方策といえば言い過ぎだろうか。「新生全農の米穀事業は、県本部が各々バラバラに販売するのではなく、統合全農として一体的な仕組みを構築し、そのもとで、各県本部の独自性を発揮することを基本とし、重複業務は徹底的に排除する」。センター入札への全農一本上場であり、各県本部の独自販売禁止であり、相対取引における実需者(量販店等)と全農本部との直接契約などである。あれれ、と思わないだろうか。各県本部は、企業の支店のことだが、その支店の勝手な動きを御法度にしたのだ。
獅子身中の虫は農協だ。唯一絶対の大株主という位置づけだが、なぜか「全農離れ」が着実に進行している。米販売でも、全農に出荷せぬ動きに拍車がかかる。農協の直接販売は、農水省調べで17年産は71万tから145万t。全農の集荷数量は246万t。独自販売は、農協の経営苦によるやむにやまれぬ動きのようである。
それを象徴するエピソードをひとつ。昨年8月初め、東北の某県で開かれた農協組合長会議。農協による独自販売が取り上げられた。全農との間では独自販売の量を「集荷量の12%以内」と取り決めていたが、たちまちのうちに枠を軽くオーバー。全農県本部の担当者から取り決めを守るよう申し入れたがあったが、農協サイドから同意はスンナリとは得られなかった。
今回の救済買付けは、1年間の備蓄を経て市場に放出される。保管料や金利もかかる。一方で古米評価も考慮しなければなるまい。あれこれ勘案すると買入れ価格程度の放出と相成る。相場に与える影響は無視できない。放出価格が相場をリードする事態も十分に想定される。
かくのごとくのイカサマ・ルールを作らせた張本人は誰か。疑われるのは全農しかない。イカサマ・ルールによって大きな利益を得たからだ。ライス・ビジネスの解説に耳を傾けよう。
「全農は農協組織の全国統合を推進すると同時に、『新生全農米穀事業改革』のもと、全国の農協の米販売一本化を進めている。すべての米販売を全農本部が仕切る体制を構築するため、センター入札への全農一本上場、各県本部の独自販売禁止、相対取引における実需者(量販店等)と全農本部との直接契約などを推進しているが、これにいち早く賛同し、全面的に服従したのが新潟県である。現在、新潟は全農と一体化している」
全農が再起をかけて練り上げた「新生全農米穀事業改革」。わかりやすく沈没船からネズミを逃走させない方策といえば言い過ぎだろうか。「新生全農の米穀事業は、県本部が各々バラバラに販売するのではなく、統合全農として一体的な仕組みを構築し、そのもとで、各県本部の独自性を発揮することを基本とし、重複業務は徹底的に排除する」。センター入札への全農一本上場であり、各県本部の独自販売禁止であり、相対取引における実需者(量販店等)と全農本部との直接契約などである。あれれ、と思わないだろうか。各県本部は、企業の支店のことだが、その支店の勝手な動きを御法度にしたのだ。
獅子身中の虫は農協だ。唯一絶対の大株主という位置づけだが、なぜか「全農離れ」が着実に進行している。米販売でも、全農に出荷せぬ動きに拍車がかかる。農協の直接販売は、農水省調べで17年産は71万tから145万t。全農の集荷数量は246万t。独自販売は、農協の経営苦によるやむにやまれぬ動きのようである。
それを象徴するエピソードをひとつ。昨年8月初め、東北の某県で開かれた農協組合長会議。農協による独自販売が取り上げられた。全農との間では独自販売の量を「集荷量の12%以内」と取り決めていたが、たちまちのうちに枠を軽くオーバー。全農県本部の担当者から取り決めを守るよう申し入れたがあったが、農協サイドから同意はスンナリとは得られなかった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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