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当然、経営内容にも赤信号が灯る。直近の17年度決算では1兆761億円の取扱高に対し事業利益ベースでは14億円の赤字。やりくり決算で1億8800万円の経常黒字を計上したが実態は火の車だ。全農事業全体の決算も危機的。5兆7437億円の取扱高に対し事業利益はわずか45億円。全農の低収益ぶりが際立つ。再建に失敗すれば民事再生法適用という事態にもなりかねない。これまた危うし全農丸である。
今回の買付けルール変更で農水省は大きな汚点を残した。イカサマ買付けで価格をつり上げてしまったことは痛恨の極みだ。米政策改革大綱の精神も踏みにじった。19年産からの生産調整の取組みにも悪影響を及ぼす。本来は需給調整で主導役を果たさねばならぬ全農、マーケットでジャッジ役の農水省が舞台裏で「談合」をやっているようであれば、誰も生産調整に協力はしないだろう。
昨年7月、全農は全農新潟県本部運営委員会会長でJA上越組合長の柳澤武治氏を会長にした。会長のお膝元農協について、事情通がこんな噂話を教えてくれた。
「JA上越が各総合商社の米穀販売関連部門に声をかけ、独自販売のチャンネルを構築したいと打診したらそのうちの1社(総合商社の子会社)と話がついたが、その際、商社サイドから手数料はサービスさせてもらうという好条件のオファーがあった」 わかりやすく喩えるなら、雇い入れた船長が、自ら船底をドリルで穴を開けている、と言えないだろうか。ウソのようなホントのような話だが、事実であったとしても農協界では別段不思議ではないことである。農水省とこのような組織が呼びかける生産調整に、誰が理解を示し、誰が協力するだろうか。無責任なイカサマ・ルールのツケは大きいとみた。
最後には自らの首を絞める無様な結果が待つのみ
今回の買付けルール変更で農水省は大きな汚点を残した。イカサマ買付けで価格をつり上げてしまったことは痛恨の極みだ。米政策改革大綱の精神も踏みにじった。19年産からの生産調整の取組みにも悪影響を及ぼす。本来は需給調整で主導役を果たさねばならぬ全農、マーケットでジャッジ役の農水省が舞台裏で「談合」をやっているようであれば、誰も生産調整に協力はしないだろう。
昨年7月、全農は全農新潟県本部運営委員会会長でJA上越組合長の柳澤武治氏を会長にした。会長のお膝元農協について、事情通がこんな噂話を教えてくれた。
「JA上越が各総合商社の米穀販売関連部門に声をかけ、独自販売のチャンネルを構築したいと打診したらそのうちの1社(総合商社の子会社)と話がついたが、その際、商社サイドから手数料はサービスさせてもらうという好条件のオファーがあった」 わかりやすく喩えるなら、雇い入れた船長が、自ら船底をドリルで穴を開けている、と言えないだろうか。ウソのようなホントのような話だが、事実であったとしても農協界では別段不思議ではないことである。農水省とこのような組織が呼びかける生産調整に、誰が理解を示し、誰が協力するだろうか。無責任なイカサマ・ルールのツケは大きいとみた。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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