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新・農業経営者ルポ

自分で作ったものに自分で値段をつける農業を

■庄内米で知られる庄内平野、出羽三山をのぞむ鶴岡の民田地区でコメの直販から、地元の名産・民田ナスの生産と加工、販売。だだちゃ豆の生産などを手掛ける鶴岡協同ファームの五十嵐一雄氏。農業にまったく興味のなかった五十嵐氏が、米国での農業体験を経て、農業の可能性に気付き、自分の夢を形にしていくプロセスはドラマチックですらある。その五十嵐氏を支える明子夫人のマルチな活躍ぶりにも圧倒される。既成にとらわれない自由な発想も、オレゴンの大地から学んだものなのかもしれない。
小説家「藤沢周平」と民田ナス

 庄内平野の鶴岡市といえば、時代小説家、藤沢周平の故郷である。その藤沢の小説『蝉しぐれ』の中に、主人公の父親が畑でナスを収穫する場面がある。これが鶴岡市の民田地区発祥の名産、民田ナスである。

 鶴岡協同ファームは、この民田地区で生まれ育った五十嵐一雄氏が代表取締役を務める有限会社である。とはいえ、現在、そのスタッフは五十嵐氏と、妻の明子さんの二人である。だが、その業務範囲の広さは、にわかには信じがたい。コメの生産、精米、直販。さらに民田ナスの栽培と漬け物加工と販売、豆腐作りセット、水ようかん作りセットなどの商品開発、大豆、だだちゃ豆の生産と販売など、生産・加工・流通・販売までを夫婦二人で一手に扱い、さらなる規模拡大を目指している。

 直販だけでも大変なのに、どうしてこれほどの幅広い業務を二人で実現することが可能になったのか。話をうかがうと、五十嵐氏が米国体験で培ったタフネス、そして明子さんとの絶妙なパートナーシップという2つの鍵が見えてきた。既成の農業という概念にとらわれない自由な発想の秘密がそこにありそうだった。

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