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新・農業経営者ルポ

自分で作ったものに自分で値段をつける農業を

見渡す限りの田を手掛け地域の農産業を活性化させる

 五十嵐氏は現在、十数人の農家から土地を預かっている。自分の土地と合わせると、その面積は40haに及ぶ。だが、五十嵐氏は民田地区の農業を活性化させるためにも、もっと多くの農地を自分に預けてもらいたいと考えている。その背景には集落営農の問題がある。

「いま問題なのは、カントリーに属している農家と、カントリーに属していない農家との断絶です。なぜカントリー組でグループを作るのか。補助金をもらいたいたからなのか、それとも本当に農業が好きだからなのか。私の見るかぎり、前者の立場がほとんどの気がします。農業を愛しているわけではない。今のままでは、集落営農とは農協のための活動に過ぎません。それより、うちに土地を預けて、うちの名前でコメを出荷した方が着実に利益も上がるし、本当の意味での農業の活性化や地域貢献につながると思います」

 五十嵐氏に「今後、長いスパンでの夢はなんでしょう」と聞いた。彼は、西にそびえる山を指して、「あれは金峯山(きんぼうざん)という山なんですが、あそこの頂上から見える範囲の田んぼが、全部うちが手掛ける田んぼになればいいなあと思いますね」といって笑った。

 アメリカの農場で72時間トラクタを運転しつづけるという離れ業を平然とやってのけてきた五十嵐氏である。途方もない話に聞こえるが、そこには強い自信がうかがえる。何より明子さんという、頼もしいパートナーもいるのだから。

【筆者プロフィール】田中 真知
1960年東京生まれ。作家・翻訳家。1990年より1997年までエジプト在住。著書に『アフリカ旅物語』(北東部編・中南部編、凱風社)『ある夜、ピラミッドで』(旅行人)、訳書にグラハム・ハンコック『神の刻印』(凱風社)、『惑星の暗号』(翔泳社)など。

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