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その原因を突き止めなければなるまい。まず思い浮かぶのは厳しさ募る農家の懐事情である。地方経済がいかなる苦境にあるかは説明の要はあるまい。経済評論家森永卓郎氏言うところの「年収100万円台」の所得層が地方にじわっと増えてきている。よって生活防衛のための作付け増加と見るのが至当だ。次いで補助金の減少も大きな要因。2004年産から産地作り交付金の額が大きく減った。7万円以上の高額助成もいまは昔の話。全国平均で4万円程度の水準だろうか。カネの切れ目は縁の切れ目、減反呼びかけに農家が応えなくなりつつある姿がまぶたに浮かぶ。3番目は農政への信頼感欠如だ。これはあまり説明されていない。
農政不信は今に始まった話ではない。原因は根深い。こんなエピソードがある。某県の○作経営者会議のA会長。「私は、全部コメを作っています。でも転作はクリアしてますよ」と自慢話をするのでワケを聞くと「米菓業者など実需者との結び付き枠で作らせてもらってます」と答えてきた。読者もご存知のように、あらかじめ酒造メーカーや米菓業者に加工用米として売れば「減反カウント」される。A会長には、「売り先があればドンドン作ってよいのだ。売り先のない人が減反に応じる。これがコメ政策改革大綱の精神だよ」と褒めてやったが、枠配分のカラクリが後でわかってガッカリ。県内商人系業者がこう明かしてくれた。
「あの枠配分はもともと不公平でね。最初に○作経営者会議メンバーや生産組合などに枠の配分をして商人系業者に残り分を割り振ってきた。それが今では既得権化してしまい商人系業者は入り込むスキがなくなってしまった。よくよく考えれば枠配分なんて法的根拠は何もない。それを特別枠のごとく思わせ農家に恩着せがましく分け与える県の役人は詐欺に近いな。ひれ伏してもらう農家も農家だ。そのうちインチキのカラクリがばれて県の言うことを誰も信用しなくなるに違いない」
○○県、もうお分かりだろう。あえてヒントを一つ、ピーっと笛を吹けば農家は右にも左にも向かせられると錯覚している県。本コラムでもBL○○一斉更新で話題を提供してくれた。そのBL○○が導入された直後、そのA会長に従来○○とBL○○の作付け比率をたずねたことがあった。確か「BL○○7割、従来○○3割」と答えていたが、同時期に別の筋には「半々」と告白。それを耳にして、お百姓さんはたくましいなと思った。BL○○に県は命運をかけた。もし逆の作付け比率であることが県庁に知れ渡れば、県庁の役人から散々嫌味を言われるか、先の枠配分を削られるかの憂き目に遭いかねない。そんなこともあってか、A会長、何もたずねていないのに「BL○○の味はいいですよ」と語りかけてこられた。BL○○批判の(大家)を洗脳してくる気概や天晴れ。すかさず「ほぉ〜、そうかい。確か東京の有名デパートに納入していたな。そこの仕入担当者も美味しいと言っておるかな」の質問には沈黙だった。
吹っ飛ぶ枠配分のインチキ
農政不信は今に始まった話ではない。原因は根深い。こんなエピソードがある。某県の○作経営者会議のA会長。「私は、全部コメを作っています。でも転作はクリアしてますよ」と自慢話をするのでワケを聞くと「米菓業者など実需者との結び付き枠で作らせてもらってます」と答えてきた。読者もご存知のように、あらかじめ酒造メーカーや米菓業者に加工用米として売れば「減反カウント」される。A会長には、「売り先があればドンドン作ってよいのだ。売り先のない人が減反に応じる。これがコメ政策改革大綱の精神だよ」と褒めてやったが、枠配分のカラクリが後でわかってガッカリ。県内商人系業者がこう明かしてくれた。
「あの枠配分はもともと不公平でね。最初に○作経営者会議メンバーや生産組合などに枠の配分をして商人系業者に残り分を割り振ってきた。それが今では既得権化してしまい商人系業者は入り込むスキがなくなってしまった。よくよく考えれば枠配分なんて法的根拠は何もない。それを特別枠のごとく思わせ農家に恩着せがましく分け与える県の役人は詐欺に近いな。ひれ伏してもらう農家も農家だ。そのうちインチキのカラクリがばれて県の言うことを誰も信用しなくなるに違いない」
○○県、もうお分かりだろう。あえてヒントを一つ、ピーっと笛を吹けば農家は右にも左にも向かせられると錯覚している県。本コラムでもBL○○一斉更新で話題を提供してくれた。そのBL○○が導入された直後、そのA会長に従来○○とBL○○の作付け比率をたずねたことがあった。確か「BL○○7割、従来○○3割」と答えていたが、同時期に別の筋には「半々」と告白。それを耳にして、お百姓さんはたくましいなと思った。BL○○に県は命運をかけた。もし逆の作付け比率であることが県庁に知れ渡れば、県庁の役人から散々嫌味を言われるか、先の枠配分を削られるかの憂き目に遭いかねない。そんなこともあってか、A会長、何もたずねていないのに「BL○○の味はいいですよ」と語りかけてこられた。BL○○批判の(大家)を洗脳してくる気概や天晴れ。すかさず「ほぉ〜、そうかい。確か東京の有名デパートに納入していたな。そこの仕入担当者も美味しいと言っておるかな」の質問には沈黙だった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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