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土門「辛」聞

2007年産の作柄で決まる大激変のタイミング

 2007年産からの新たな生産調整の仕組みを整理しておこう。

「コメ政策改革大綱の目的は、平成22年度という目標年次を明確にした上で、コメ作りの本来あるべき姿を実現することです。言い換えれば、消費者重視.市場重視の考え方に立って、需要に即応したコメ作りの推進を通じて水田農業経営の安定と発展を図ることです。このため、需給調整対策、流通制度、関連施策などの包括的な改革を、整合性をもって実行することとしています」

 コメ政策改革大綱は実によくできている。これを作成した官僚氏の志の高さがストレートに伝わってくる。読者諸兄も、読み直してもらいたい。筆者なりに意訳すれば、まず減反ありきの発想を改め、具体的には、売り先のある生産者は、ドンドン作ってよろしい、逆に売り先のない生産者は補助金をもらって減反に応じなさい、との意味になろうか。もっと深読みすれば、集荷業者で売り先のある者は、地域推進協議会の場に出席する際、減反に応じない旨の生産調整方針を作成し、協議会の場に臨んでは堂々とフル作付けを宣言すればよいのである。売り先のない者から嫌がらせを受ける恐れのある場合は、最初から協議会に参加しないという究極のコースもある。

 新潟県内で配布されている「生産調整方針参加先の確認書」は、その究極のコースを選択できるようになっている。生産調整方針作成コースのほかに、「いずれの方針にも参加しません」との記入欄もある。そこに○印を記入すれば、行政や農協に気兼ねすることなく「フル作付け」可能の道が開ける。この確認書は合格点だが、県農政担当者の言動ぶりにはまだ疑問符がつく。筆者の地獄耳に「2007年から3年間は、いまの制度を延長するだけ。これが新潟システムだ」とうそぶく新潟県農政関係者の挑発的な発言が入ってきた。新潟システムがいかなるものかは知る由もないが、どんなことをおやりになられても需給調整など小役人にできるわけがない。分を弁えろと言いたい。

 新たな需給調整システムへの移行の検証に関する検討会(略称・検討会)の議事録に目を通した。相も変わらず小知恵を働かせれば需給操作も可能になるとの役人(OBも含め)の錯覚と自信過剰があちこちで見てとれる。残念なことは、過去36年間に及ぶ減反政策の失敗がその錯覚と妄想によってもたらされたことについての総括が何もない。従来手法に少し手を加えれば、農家は協力してくれて生産調整は可能と思い込んでおられるのは救いようがない。

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