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土門「辛」聞

2007年産の作柄で決まる大激変のタイミング

「始まり」の「始まり」か

 作付け面積が増えたことは生活苦故の動機と説明した。格差社会が進行する中、地方のビンボーはこれからが本番。生産調整の成否を占う上で無視できぬファクターとなる。米価や農地価格よりも要ウォッチ対象かもしれない。集落社会の秩序にも微妙な変化が起き始めている。減反強制の道具だった「集落の締め付け」もきかなくなりつつある。行政や農協が得意とする手が使えなくなるのだ。そんなことをすれば農協共済は解約、貯金は引き上げられる。最後には「出資金を戻せ」と組合員の集団脱退にも発展しかねない。

 つい最近、食糧部計画課の優秀な官僚氏に、「実は集落営農賛成なんだよ」と冗談めかして話したことがある。その理由を聞かれて次のように答えておいた。

「あれだけ矛盾だらけ、デタラメ三昧の政策はドンドン進めてもらった方が世のため、国のためになるよ。行政や農協のデマ宣伝に乗せられて集落営農に参加してみたら、米価がドカンと下がって補助金の分け前にあずかれなくなってしまう。挙句の果てに融資の連帯保証人にさせられたり、赤字の尻拭いもさせられたり、ひどい目に遭わされることは目に見えている。集落営農組織そのものも数年をまたずパンクだ。無責任農政に愛想を尽かし始めるのはその時だ。よってみなさん、大らかにコメをお作りになられ、ほどなく米価は暴落していく。でも恐れることは何もない。駄農の退出が始まるからだ。でも気になるのは売り先のない大規模生産者が真っ先に潰れていくことかな。所詮は経営力がなかっただけのことで、国にお願いをするとしたら補助金を与えてゾンビのように生き長らえさせないことだ。理想は優秀な人材が他産業からドンドン入ってきてもらうことである。そのために農水省が打つべき施策はある。能力ある者が思う存分腕を振るえるよう農地法を整備しておくことだ」

 ここまで言いかけたら、官僚氏曰く、「それじゃ米価暴落で農家が困るではないですか」と話を遮ってきた。「みんなが作って暴落するのだからが自業自得だろ。役所がとやかく心配することはない。すべて自己責任がこの世の原則。でも下がったものはいずれ上がる。落ち方が大きいほどリバウンドも大きい。その方が構造改革も早く実現するぞ。ソフトランディングでは何も解決はしない。米価がここまで下がり、兼業先収入も落ちてくれば、ハードランディングは勝手に起きてしまうもの。これが経済というものだよ」

 2007年産から始まる大混乱のピークは2年後か、3年後か。タイミングは2007年産の作柄で決まる。豊作なら早まるだけ。大混乱を「始まり」の「始まり」とみるか、「終わり」の「始まり」と見るか。今年は丁亥(ていがい)の年だ。1467年の丁亥の年は、応仁の乱が起こり戦国時代の始まりとなった。1707年は、大地震、大津波があり、富士山が爆発した。新旧秩序が激しくぶつかり合うのが丁亥の年らしい。読者諸兄の大健闘を祈る。

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