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【『農業経営者』定例セミナー】
世界と日本のGAP最新情報
- NPO法人日本GAP協会 事務局長 武田泰明
- 第33回 2009年06月12日
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【『農業経営者』編集部からのセミナー解説】
6月12日の定例セミナーでは日本GAP協会専務理事兼事務局長の武田泰明氏をお迎えし「世界と日本のGAP最新情報」と題してお話をいただいた。当日はGAPとは何かという基本的な解説に始まり、その取得で農場はどう変わるのか、そして国内の普及動向、さらに「読者の会」に向けて特別に、世界におけるGAP競争の本質についても話題を展開していただいた。
GAP競争の本質 世界標準化とは
世界のGAPはヨーロッパが先導しており、各国のGAPはグローバルGAPの同等性認証を得ることで自国のGAPの価値を高めようと活発に動いている。しかしグローバルGAPの波及は裏を返せば「農場管理という仕事」に世界標準が作られるという話だ。
かつては品質の良い商品さえ作れば誰かが必ず買う、という時代だった。しかし今の時代には、標準というものがある。ただ単に良いものを作っても、標準に則していないと売れない、という時代になりつつある。
これはどういうことか。良い商品を作るだけでなく、標準をどこが握るかが重要な競争となるのだ。言語なら英語が世界標準。通貨は米ドル、ウェブはグーグル、TVゲームは任天堂、さらには柔道などのスポーツでも欧米人に有利なルールができつつある。この例を見れば、標準を握った地域や企業が競争優位に立っていることが理解できよう。逆に標準を握っていないと、運用の大幅な変更を求められたり、大きなリスクを抱えることもあるのだ。
そして今、世界のGAP情勢にも、同様な標準化が進んでいる。GAPに関する日本の発言力が弱いままだと、ヨーロッパの農業生産環境をベースに、ヨーロッパの小売業が開発したGAPで、日本の伝統産品である米やお茶の農場管理をしなくてはならないという可能性もありえるだろう。
「日本は、世界最大の農産物輸入国。それにもかかわらず、農産物の安全性に大きく影響する世界標準GAPの内容について、深く関与できていない。これでは日本の消費者に対して、食品関係者として十分な責任を果たせない、ということにもなりかねない」
価値の低いGAPの氾濫 日本はこれで良いのか?
日本の地方行政は、GAPをバラバラに作ることに夢中になっている。全中は各JAごとにGAPを作るように指導し、その研修を各地で開催、農水省がそれを資金的に援助している。
「農場管理の良さを評価できないバラバラのGAPに価値はあるでしょうか。結果的に手法として価値の低い、つまり役に立たないGAPが氾濫し、農業現場は大迷惑です」
一方、国内向けにはレベルの低いGAPでいいことにして、輸出向け農産物のみJGAPやグローバルGAPで対応すればよいという議論もある。「それでは日本の消費者に、みなさんはレベルの低い農場管理のもとで生産した農産物で良いですよね、ということになる。それを誰が伝えるのか」
GAPが登場した現代は、農場管理の良し悪しが赤裸々になる時代だ。しかし、このままでは日本のGAPは世界で戦えない。GAPの普及を通して国産農産物の国際的な競争力を高めなければ、と同氏は最後に述べた。
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武田泰明 タケダヤスアキ
NPO法人日本GAP協会
事務局長
1976年北海道生まれ。筑波大学生物資源学類卒。㈱ケーアイ・フレッシュアクセス、農業情報コンサルティング(株)を経て、筑波大学大学院経営政策科学研究科へ進む。その後、三菱商事㈱で食品営業や食品工場の品質管理などを担当した後、退職して現職。
『農業経営者』読者の会 定例セミナー
月刊『農業経営者』読者の方に向けて、農業経営者や関連業界人を講師に招き、農場の成長、発展に役立つ定期セミナーを毎月(年間20回以上予定)開催しています。セミナーへは一般参加も可能です(5,000円/1回)。懇親会では、情報交換や人脈構築の機会を提供します。目的意識の高いほかの参加者との出会い・交流の場としてもご好評いただいています。
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