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叶芳和が訪ねる「新世代の挑戦」

市場外流通のイノベーター (株)ケーアイ・フレッシュアクセス(東京都)

農家は減る一途、そういう中で、地域の農業を維持・発展させる動きがビジネス側から出てきた。借地による規模拡大も容易になった。新しいビジネスモデルが農業の近代化を推進し始めた。商系も農家も2代目社長が新しい農業の創造に動いている。発想を変えれば、農家数の減少は新しいビジネスチャンスだ。新世代の挑戦―――親父世代とは農業の経営環境は様変わりした。新世代は何を考え、どう行動しているか。(評論家叶芳和)
急伸する青果物流通のイノベーター

「農産の流通革命」を起こそうと立ち上げられた会社が、8年間で売上高1500億円の企業に成長した。

 スーパーや外食などが大発展しているにもかかわらず、既存の市場流通はユーザーの大規模化に対応できていない。取引単位の大規模化に伴い、卸売会社や仲卸業者を経由することなく、生産者とユーザーを直接つなぐシステムとして市場外流通が発達してきた。この市場外流通の風雲児が(株)ケーアイ・フレッシュアクセス(KIFA・松丸正明社長)である。

 KIFAは商社系の中間流通業者として1998年に新規参入、卸売市場を経由せず量販店に直接販売する新興企業であり、市場外流通を担う唯一の全国ネットワークの広域青果卸である。

 青果物の流通市場は、これから市場争奪の戦国時代に突入していく。卸売市場法の改正で、3年後、卸売市場の委託手数料(口銭)が自由化され、手数料の値下げ競争が激化する。口銭を引き下げてもやっていける業者だけが競争の中で残れる時代に入った。青果流通5兆円の攻防である。

 KIFAは全国12箇所にサービスセンターを整備し、毎日、約3000店のスーパーなどユーザーに新鮮で美味しい野菜や果物を届けている。低温鮮度管理の物流拠点を保有し、またスーパー内の作業を軽減する売り場別仕分けをして納入している。いわばサプライチェーンマネジメントだ。こうした先端物流情報システムとユーザー志向の経営が功を奏して、従来の市場内流通のチャネルから市場を奪って急伸している。

 これまで、KIFAは輸入青果中心であったが、市場内卸売業者である東京新宿ベジフル(株)と資本提携して、国産青果の物流の足がかりも作った。既に20%も流通コストの引き下げに成功しているKIFAは、いよいよ始まる市場争奪戦を勝ち抜き、2012年までには取扱高5000億円を目指す。

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