ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土門レポート2001農と食産業の“時々刻々”

拡大版 農業経営所得安定対策には期待するな

この人が言い出しっぺでなければ、これだけ世論の批判が出なかったのかもしれないのが、政府が導入を前提に検討作業に入った「新たな農業経営所得安定対策」(以下、安定対策)である。
 この人が言い出しっぺでなければ、これだけ世論の批判が出なかったのかもしれないのが、政府が導入を前提に検討作業に入った「新たな農業経営所得安定対策」(以下、安定対策)である。この人とは、農水副大臣の松岡利勝氏(自民党、熊本3区選出)のことだ。

 価格保証から農家の所得補てんへ。米国やEUではそのような動きらしい。WTO(世界貿易機関)農業交渉でも焦点となるテーマの一つである。いずれはこの方向に向かうのかと思うことがあっても、今回の安定対策に双手を挙げて賛成というわけにはいかない。すべては言い出しっぺの松岡氏の日ごろの言動ぶりにある。これはどうみても選挙目当ての不純の動機で言い出してきたとしか思えない。

 たとえ安定対策の導入が必要だとしても何も急ぐことはない。まず既存の制度との整理をつけねばなるまい。それに税金の投入もある。納税者の理解も得なければなるまい。また安易に税金を投入すれば農業者がモラルハザード(倫理の欠如)を引き起こすという問題もある。この種の制度は万策を尽くして、それでもなお足らざる時にのみ、導入を検討すべき政策テーマである。政治は、その万策をいまだ尽くしていない。これが筆者の見解だ。

関連記事

powered by weblio