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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

パン用小麦、茨城県産ゆめかおり 前編 
人の出会いからパンが生まれるまで


浅野屋の平氏は、ゆめかおりが茨城県の推奨品種になる前の前名称「東山42号」の全粒粉に興味を持っていた。食総研で堀金氏が開発した金属臼の低温製粉機でひいた全粒粉は、粒度が細かく臭いが抑えられていて、その全粒粉でつくったパンを食べたところおいしかったからである。その全粒粉に「健康にはいいけど、おいしくはない」というイメージを覆されたという。
平氏が、茨城県産を使いたいと思った決め手は、さらに3つある。一つめは、茨城県だと夏に収穫されるため、夏から年末まで新麦でつくった商品として「とれたて、ひきたて、つくりたて」としてアピールできると考えたからである。二つめは品質の良さ、三つめはつくり手への信頼である。
「畑できちんとつくられた小麦は品質が良かったです。ふすま(外皮)も薄く大粒で、パンのボリュームが出ます。圃場も見学させてもらいましたが、つくり手が真剣でした」
ソメノグリーンファームと浅野屋をつなぐ製粉は千葉製粉が受けた。千葉製粉は、国内需要予測571万t(14年度)のうち、19万tの生産を担っている製粉会社である。サンプルを受け取った翌14年度産から50tを受け入れる契約を交わした。
千葉製粉がゆめかおりの製粉を受けることに決めた理由も3つある。まずは、茨城県からの要請を受けたことである。県内PRなどパン用小麦の普及に取り組む真摯な姿勢が見られたという。二つめは、品種としての優位性である。農研機構の試験評価をもとに浅野屋にも品質を認めてもらったゆめかおりであれば、地産地消や国産への志向が高まっているなか、新たな市場が創出できると考えたからである。三つめは、染野氏の生産に対する熱意である。染野氏と実際に会い、良い品質の小麦をつくってくれる生産者だと感じたという。千葉製粉の茂櫛氏は、あくまでも市場価値を鑑みての判断としながらも、こう付け加えた。
「私たちも、ものづくりをしていますから、同じようにものづくりに意欲的な方には協力したいという気持ちが出てきます」
染野氏は、試験栽培を経てゆめかおりは良い品種だと確信を持ち、14年度産は精白粉をつくるための最低ロットを生産できる8haに作付面積を増やした。
「もし売り先が決まらなかったら、堆肥に積めばいいやと思っていました。しかし、普及センターのバックアップもあり、千葉製粉さんから良いお返事をいただきました。浅野屋さんは圃場にも来てくれました」
こうして、生産者、一次加工の製粉業者、二次加工の製パン業者が信頼関係のもと連携し、ゆめかおりのパンが世に送り出された。

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