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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

パン用小麦、茨城県産ゆめかおり 前編 
人の出会いからパンが生まれるまで



信頼関係を支える品質

3者が信頼関係で結ばれたのは、パン用小麦としての品質の良さがその根底にある。本来、パン用小麦に求められる品質とはどういうものだろう。
国内のパンの多くは、表3のようにパン用として輸入されている硬質小麦のカナダ産ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)が使われている。ゆめかおりも1CWと同じ硬質小麦で、その品質の良さというのは、おいしいパンをつくるための加工性と歩留りにある。
小麦の種類は、大きく分けて硬質小麦、中間質小麦、軟質小麦、デュラム小麦の4種類がある。硬質小麦は、タンパク質の含有量が高く、パンや中華麺などに使用される。中間質小麦は、タンパク質の含有量は中くらいで、うどんなどに向く。軟質小麦は、タンパク質の含有量が低く、菓子などに、デュラム小麦は、グルテンの含有量が多く、パスタにそれぞれ利用される。
このように、タンパク質の含有量は加工において重要な要素となる。特にパンの場合、タンパク質に水を加えることにより生成されるグルテンが、パンの弾力性や粘性を生むためである。ソメノグリーンファームのゆめかおりは、このタンパク質の含有量が1CWに引けをとらない。
さらに、粒が大きくふすま(外皮)が薄いほうが全粒粉に適している。浅野屋が評価しているのは、この点である。
一方、製粉業の立場では、パン用に限らず小麦の容積重、つまり、一定容積当たりの重量を重要視する。製粉したときに、小麦粉になる量が多いか少ないかが決まるため、歩留りに影響するからである。ゆめかおりはこの容積重の値が大きく、大粒で、千粒重の値も大きいことが評価されている。
茨城県の黒ボク土は、ゆめかおりのような高タンパク質の品種に向いている。染野氏は、ゆめかおりに出会ったとき、「この土地にマッチしていると直感した」という。ソメノグリーンファームでは、タンパク質含量は1CWより高い値が出ており、容積重に関わる「粒張り」が良いという。

3者がプロとして
品質を追求する役目を果たす

浅野屋によると、ゆめかおりの全粒粉パンは好評で、千葉製粉によると、他の製パン業からのゆめかおりへの評価は高く引き合いも多いという。
市場の評価が高いのは品種自体の力もさることながら、生産を担うソメノグリーンファーム、製粉を担う千葉製粉、パンの製造と販売を担う浅野屋に、それぞれが小麦、小麦粉、パンの品質を追求するプロとしての姿勢があってのことである。染野氏は、3者の連携について次のように話した。

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