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特集

待ってました日本農業の夜明け!イノベーションに挑む経営者の時代 続編 年の初めに言ってしまいます――何よりも自分に、そして時代に、同伴者たちに



護送船団方式で農家が誰でも食っていけた時代は過ぎ去り、もう二度とそんな時代はやってきません。それでも農業をやりたい人はいて、そういう人は生き残る術を自ら考えます。必要のない人に下手にお金を出すことは、本当にやりたい人・やれる人の選別につながらないというマイナスの効果を重く見るべきでしょう。

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ユーザーの声を受けて比内地鶏の既成概念を越えた比較的若齢の鶏も販売
有限会社秋田高原フード 取締役 大塚智子(秋田県北秋田市)】

年頭に際して改めて誓うことは、強靭な経営であるべく努力を続けることに尽きる。もちろん、公的な補助をアテにしない前提でだ。
農場・食鳥処理場、さらに販売のそれぞれで発生した事実(あるいは数字)がまだまだ放ったままになっている。これらは関連づけ、検証されるべきだが、私たちは発展途上だ。
さて、昨年の当社の生産量は前年比109・9%。売上高は同じく117・5%だった。消費税率引き上げや輸送コストアップ(客先負担)などのハードルがあったものの、悪くない結果ではあった。農場では種鶏群までさかのぼった成績を定点的に示し、販売面では商品の規格・流通単位の整理を行なった。後者は輸送コスト上のデメリットを最小化する目的も兼ねている。また、比内地鶏の既成概念から半歩踏み出し、比較的若齢の鶏の販売も始めた。ユーザーであるレストランからの「数名の会食で余さず食べ切れるサイズの鶏を」という要望に応えたものだ。ほどなく精肉小売店からもオーダーが入るようになった。若齢のため食感が軟らかく、消費者の嗜好に合ったようだ。人の嗜好が年齢とともに変化すること、それに対応する必要を実感している。
当社の強みはコマーシャル雛の生産から育雛・育成、食鳥処理、販売、さらには調理品の製造販売までを一貫して実施していることだ。前述の「出荷時期のアレンジ=おいしく軟らかく、使い勝手の良い鶏肉の提供」はそのメリットの一つである。このようなフットワークの軽さや持続のためには、やはり強い足腰が不可欠だ。
ところで昨年、「テーブルヒルズ・キッチン」のブランドで展開している調理食品の宅配部門が大きく伸びた。食材はもちろん、パッケージやWEBサイトに至るまで、上質さやスタイリッシュさに妥協せず、4年かけて作り込んできた部門だ。少数の個人顧客へ定期的にカタログを送るなど地道な取り組みを継続し、徐々にフードジャーナリストの方の取材を受けたり、雑誌に掲載されるなどの機会を持てるようになりつつある。芽が出るものばかりではないが、しつこく、こうして小さな種を播き続けていきたい。

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