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紀平真理子のオランダ通信

イシグログループ主催のオランダ施設園芸視察研修(4)

環境保全型農業に取り組むRoyal Brinkman社(後編)
オランダでは第二次世界大戦後にペストが流行し、農薬が使用され始めた。1980年代までは単位面積当たりの農薬使用量は日本と同様にかなり多かった。しかし、当時農産物の最大輸出国だったドイツから指摘を受け、農薬の使用を減らすとともに生物農薬を推奨する政策へと転換した。2007年の農薬使用量は0・4kg/haで、92年の2・1kg/haから50%以上削減し、日本の1・2kg/ha(92年)を大幅に下回っている。さらに、94年には施設園芸、また10年には耕作とガーデニングにおける持続可能な植物保護のルールを導入し、明確な農薬基準が定められた。そのルールの制定によってスプレーヤーやノズルの技術革新、生物農薬のさらなる活用が促進され、現在では生産者をはじめ、農業関連企業も農薬使用量の最小限化を目指している。
 ちなみに、生物農薬は主に施設園芸で用いられる。なかでも化学農薬の削減方向にあるオランダでは天敵昆虫が推奨されている。トマトやパプリカ、ナス、キュウリ、イチゴ、さらに一部花きの栽培時に使用される。もともと天敵昆虫は研究者が化学農薬の使用を続けることで害虫の抵抗性ができてしまうことを指摘したことから始まり、キュウリの生産者がハダニを食べるチリカブリダニを増殖して使いだしたことで誕生した。その後、その生産者がオランダでKoppert社という天敵昆虫メーカーを設立し、長年にわたって研究開発を行なった。Royal Brinkman社も天敵昆虫を取り扱っている。

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