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読み切り

安全、良食味、多収の基本技術とその実践 疎植水中栽培 ~稲と水田の威力を生かす稲つくり~

私は民間稲作技術を少しでも多くの稲作経営者に伝承することを志し、現在奮闘している。
すべての命が共生する水田を
農薬を必要としない稲作技術を



 私は民間稲作技術を少しでも多くの稲作経営者に伝承することを志し、現在奮闘している。本来稲作技術には、国が進める慣行稲作技術(V字型)と明治・大正・昭和と、それぞれの地域で発展してきた篤農家技術とがある。

 私もはじめは父からの技術を受け、V字型稲作を修得し、実践してきた。しかしこの技術では、増収時代でありながらも一定の収量以上は伸びないことに気付き、民間技術を取り入れてきた。しかし確実な満足感は得られず、試行錯誤の日々であった。そこで改めて稲の生長生理から学び直し、科学する稲づくりの実践に取り組むことにした。そして培ったその技術を、誰にでも理解しやすい栽培方法として確立したいと願い、さまざまな生育段階の稲を計測していった。数字をもってこの技術の基本を表し、その数字にあてはまるような稲をつくれば、誰にでも味の良いコメがたくさん穫れるのだ。私はこのことを「良食味、多収のイネつくり」(農山漁村文化協会刊)にまとめ、稲作農家に向けて発信した。本書は私の稲作技術の集大成であり、30年間の技術の推移を示したものである。

 しかしコメを取り巻く情勢は時の流れとともに移り変わっている。栽培者は本来、情勢の変化を見極めて、それに従って自らの技術を変化させていかねばならないはずである。またその技術は、常に他を一歩リードし、どのような時代の変化にもついていけるものでなければならない。

 21世紀は地球環境の時代といわれている。つまりは環境保全型農業が求められる時代であり、水生昆虫や魚類、微生物から細菌に至るまですべてが共生できる水田、農薬を必要としない稲作技術が求められているのである。前著の発刊から約10年の歳月が流れる中でこの技術の概成を見ることができ、再び筆を執り「健全豪快イネつくり」(農文協刊)を刊行させていただいた。本書では疎植水中栽培の基本技術を述べ、そして実践を示した。以下、その概要を記してみる。

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