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新・農業経営者ルポ

単独で260haの畑作経営を回す北海道の一匹狼


比較のために他のポテトハーベスターとの違いについて述べておく。畝をまたいで収穫する国産の1畦インロータイプは時速1~2km台、同じく国産の1畦オフセットタイプにしても時速1~3km台の範囲で作業されている。時速3km以上で走っている人はなかなかいないのではないかと思われる。グリメ社の1畦オフセットタイプのユーザーでも上原のようなスピードを出している人は皆無といっても過言ではない。
通常、ポテトハーベスターの走行速度は、機上に流れる塊茎と石や土塊、茎葉といった夾雑物、それに対処する選別作業員の人数によって決められる。人数が少なければ速度を落とし、たとえ人数が十分でも病障害に侵された塊茎や夾雑物が多ければ遅くせざるを得ない。しかし、収穫での最大の焦点は塊茎に打撲を発生させないことであり、いかに効率良く圃場から倉庫に運んでくるかにある。病障害に罹病した塊茎の除去などは本来、二の次だ。これは、収穫と選別が分離した体系が構築されている北米や西欧などのジャガイモ生産国の方法だが、日本ではまだそうした施設が限られている。その点、上原は自前の選別・貯蔵システムを持っているが、だからといって時速8kmというのはおいそれと取り組めるものではない。ジャガイモ関係に精通する人がこんなことを言っていた。
「2畦ポテトハーベスターを運転するのに、おっかなびっくりやる人とすんなりできるオペレーターと二通りいる。いずれにしても従来乗っていた機種から頭を切り替え、高速走行をしないといけない。選別は倉庫でするわけだし、何より打撲を発生させないためにはそのほうがいいんだからね」
上原はそれをためらわずに実行していたことになる。かつて自身が用いていた国産の1畦インロータイプを時速2kmで走行させた場合と現在とでは作業能率で8倍の開きがある。

果報は寝て待て

上原は香川県からの入植4代目に当たる。父で昭和一桁世代の徳保も現役で、ジョンディアの310馬力トラクター・8310Rを平然と乗りこなしているという。ロータリーハローをかけるのも上原より上手だそうだ。中学、高校時代の上原はそんな父と休日や冬になれば山に入った。
「このあたりは俵橋高台という地名でね、昔は山だった。それを国の払い下げで買って、父ときこりをしていた。そういう意味で自分が最後の開拓者だと思っている。でも、結局は先祖からのものを守っているだけ。それで食わせてもらっているに過ぎない」

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