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【紀平真理子のオランダ通信】
イシグログループ主催のオランダ施設園芸視察研修(終)
- 紀平真理子
- 第20回 2015年02月26日
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オランダ北部のアンデイク市でチューリップを生産するKreuk社を訪問した。1993年創業の家族経営の同社は、年間1000万本に上るチューリップの切り花と18haの重粘土壌で15品種の球根を手がけている。球根は販売せず、あくまでその目的は自家の切り花のためになる。切り花については主にイギリスやスカンジナビア諸国に輸出しているという。
では、栽培方法に触れたい。夏から秋にかけての14週間、球根を9℃で保管し、冬と勘違いさせて秋に定植できるよう準備する。11月に球根を消毒、サイズ別に選別した後、10~12cmの球根は切り花の栽培用に、10cm以下のものは露地に植えて球根を肥大させてから翌年使用することになる。定植は専用のパレット1つにつき120球を固定し、水耕で栽培する。このパレットの真ん中にはフロート式の排水弁があり、一定量以上の水がたまると排水される仕組みになっている。ちなみに、これは生産者のアイデアから製品化されたという。ここでもオランダらしい「話し合いと協働」の精神を垣間見ることができた。定植後は赤色と白色混合のLED補光と太陽光を併用して栽培し、ハウスに移してから約3週間で収穫に入れる。その収穫期間は12月上旬から5月上旬の5カ月間と長い。
また、同社は2011年に約150万ユーロ(ただし、新築分の土地代を合わせて約200万ユーロ。当時の為替レートで約2億2600万円)を投資し、ハウス内に1500平方mの三層式栽培システムを導入した。三層式のため、総栽培面積は3400平方mになる。これは、オランダの温室設備メーカーであるBosman & Van Zaal社製で、移動式ベンチシステムを採用している。オランダではチューリップの切り花の出荷額が1本当たり約12~15セント(取材時の為替レートで約17~21円)で、同社は年間1000万本を生産しているため、年商約135万ユーロ(同約1億8765万円)だと予想される。多額の設備投資ではあるが、栽培効率の向上と収量を考えると十分返済に見合う投資額だ。
また、同社は2011年に約150万ユーロ(ただし、新築分の土地代を合わせて約200万ユーロ。当時の為替レートで約2億2600万円)を投資し、ハウス内に1500平方mの三層式栽培システムを導入した。三層式のため、総栽培面積は3400平方mになる。これは、オランダの温室設備メーカーであるBosman & Van Zaal社製で、移動式ベンチシステムを採用している。オランダではチューリップの切り花の出荷額が1本当たり約12~15セント(取材時の為替レートで約17~21円)で、同社は年間1000万本を生産しているため、年商約135万ユーロ(同約1億8765万円)だと予想される。多額の設備投資ではあるが、栽培効率の向上と収量を考えると十分返済に見合う投資額だ。
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紀平真理子 キヒラマリコ
1985年、愛知県生まれ。2011年、オランダへ移住し、食や農業に関するリサーチ、本誌や馬鈴薯専門誌『ポテカル』への寄稿を開始。2016年、オランダVan Hall Larenstein University of Applied Sciences農村開発コミュニケーション修士卒業。同年10月に帰国し、農業関連記事執筆やイベントコーディネート、海外資材導入コーディネート、研修・トレーニング、その他農業関連事業サポートを行なうmaru communicateを立ち上げる。今年9月、世界の離乳食をテーマにした『FOOD&BABY 世界の赤ちゃんとたべもの』を発行。食の6次産業化プロデューサーレベル3認定、日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。
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