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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第三章 貸借対照表から経営感覚を養おう(1)「資産の部」の眺め方と分析


私生活でも同じことで、現金や預貯金が沢山あることは、すなわち安心できることである。お金がなくとも、性能の良いお気に入りのトラクターこそステイタスだ!と叫ぶ方を除き、現金や預貯金が「経営の財布」に多くあれば、不測の事態のときの転ばぬ先の杖にもなる。営農を閉じることが確定している場合や、このご時世、とかく不安でしかたがないという場合は、現金を握って離さない逃げ切り方式もありである。
しかし、本誌の読者は、夢と希望が一杯で、野心と好奇心が旺盛な方ばかりであろう。常に規模拡大、新規事業や新技術の導入、収益増大、労働改善――。投資のたびに期待と不安が心中を交錯しても、日頃からこの時代を乗り切る策を練り、前向きに経営を進めているはずである。
そんな皆さんにとって、心の安定剤の処方となるかは定かでないが、図1に流動性と固定性の簡略図を時系列に示した。
1年の計として経営を思案するとき、費用と収益に意識が集中しがちである。しかし、経営展望を考えるときには、資産構成の目標を立てて検討することが大切になる。安全度合いを測る現預金の大きさと、先に挙げた目的を持った投資による固定資産の大きさを資産の構成比率で考えてみると、図1に示したように、常に投資と回収が繰り返されることがわかる。
投資により手元に現預金が少ない時期があっても、いずれ目論見が的中し、回収の時期は訪れるのである。それを繰り返しながら、経営成果として総資産がバランス良く増えるのであれば、経営は発展に向かって舵をとっていると判断できる。
これを判断する経営分析値の一つに、固定資産比率がある。最も基本的な資産状態を把握するバロメーターで、流動性と固定性として、貸借対照表を押さえる基本である。図2にその捉え方を示す。
前回、貸借対照表は「資産」「負債」「資本」の3つの数値で捉えるやり方を紹介した。その資産を「当座資産(A)」「固定資産(B)」「投資資産(C)」に分割する。固定資産比率は、AとBとCの合計である総資産に対する固定資産(B+C)の比率から求める。表1の事例で実際に計算してみると、9000万円の総資産に対して固定資産は8550万円なので、固定資産比率は95%となる。

資産の動きと経営の良し悪し

貸借対照表を一つの決算だけで見ると、その時点での資産構成を把握することができる。しかし、資産がどのように変化したかは把握できず、今後どのように変化していくのかも想像できない。そこで複数年分の貸借対照表を並べて、構成比を割り出し比較する。シンプルな方法であるが、今後の財務の変化が予想しやすくなり、目標を立てるための材料となる。

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