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【土門「辛」聞】
農業改革が決着したら、大臣の政治資金スキャンダルだ
- 土門剛
- 第126回 2015年02月26日
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「西川公也農相の政党支部『自民党栃木県第2選挙区支部』が2012年9月、選挙区内にある栃木県鹿沼市の木材加工会社から政治資金規正法違反の疑いが強い300万円の献金を受けていたことが分かった。同社は献金4カ月前の同年5月、国から7億円の補助金交付が決定したが、同法は国の補助金の交付決定通知から1年間、政治献金を禁じている。これを知りつつ献金を受ければ政治家側も同法違反となるため、西川氏の説明責任が問われそうだ。木材加工会社が受けた補助金は、林野庁の『森林整備加速化・林業再生事業』。林業振興や森林保護のため自民党政権下の09年5月、補正予算で創設された」
破格補助金の裏を
質問 今回のポイントはどこか?
土門 これだけ客観証拠が揃っているわけだから、国の補助金の交付決定通知から1年間、政治献金を禁じている政治資金規正法に違反することは疑いの余地はない。ただ、それだけだと問題が矮小化してしまう。我われが知りたいのは、補助金交付で便宜を計った見返りがあったかどうかである。
質問 それにしても、補助金の取り方も、政治献金の動きも、かなり派手というか露骨だな。
土門 毎日新聞の記事では、ただ「栃木県鹿沼市の木材加工会社」と名前を伏せていたが、すぐに実名報道に変わった。本社が西川氏の選挙区(栃木2区)にあるテクノウッドワークス(株)。早川孝男社長は西川氏と昵懇の関係だ。補助金の恩恵を受けていないときでも、献金額は40万円。補助金を手にすると、献金額が一桁跳ね上がる。そして補助金額が大幅アップすると、献金額も大幅アップ。12年度の300万円は、その年の5月に受けとった補助金7億円の見返りと受け取られかねない。誰しもそうした疑念を抱くであろう。西川氏が説明責任を負うのは、この点である。
質問 テクノウッドワークス社へ流れた補助金の総額は?
土門 森林整備加速化・林業再生事業は、交付金制度で国が栃木県へ交付金を渡し、配分先は栃木県が決める。栃木県庁の資料では、同県にきた交付金は09~11年度の3年間で60億円ほど。このうち、テクノウッドワークス社に配分したのは14億6000万円で、交付金の4分の1になる。栃木県木材業協同組合連合会に加盟する業者は800社もあるのだから、テクノウッドワークス社がいかに優遇されていたかを雄弁に物語る数字だ。
破格補助金の裏を
徹底的に洗え
質問 今回のポイントはどこか?
土門 これだけ客観証拠が揃っているわけだから、国の補助金の交付決定通知から1年間、政治献金を禁じている政治資金規正法に違反することは疑いの余地はない。ただ、それだけだと問題が矮小化してしまう。我われが知りたいのは、補助金交付で便宜を計った見返りがあったかどうかである。
質問 それにしても、補助金の取り方も、政治献金の動きも、かなり派手というか露骨だな。
土門 毎日新聞の記事では、ただ「栃木県鹿沼市の木材加工会社」と名前を伏せていたが、すぐに実名報道に変わった。本社が西川氏の選挙区(栃木2区)にあるテクノウッドワークス(株)。早川孝男社長は西川氏と昵懇の関係だ。補助金の恩恵を受けていないときでも、献金額は40万円。補助金を手にすると、献金額が一桁跳ね上がる。そして補助金額が大幅アップすると、献金額も大幅アップ。12年度の300万円は、その年の5月に受けとった補助金7億円の見返りと受け取られかねない。誰しもそうした疑念を抱くであろう。西川氏が説明責任を負うのは、この点である。
質問 テクノウッドワークス社へ流れた補助金の総額は?
土門 森林整備加速化・林業再生事業は、交付金制度で国が栃木県へ交付金を渡し、配分先は栃木県が決める。栃木県庁の資料では、同県にきた交付金は09~11年度の3年間で60億円ほど。このうち、テクノウッドワークス社に配分したのは14億6000万円で、交付金の4分の1になる。栃木県木材業協同組合連合会に加盟する業者は800社もあるのだから、テクノウッドワークス社がいかに優遇されていたかを雄弁に物語る数字だ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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