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新・農業経営者ルポ

日本における中国野菜の源流


「味を決めるのは肥料」と主張する西川だが、土壌分析は一切しない。その理由は「気候は毎年違うから」。それよりも「勘が大事」と主張する。
「たとえば、ゲリラ豪雨があれば肥料は土壌から抜けていくでしょ。この異常気象に土壌分析はついていけない。それよりも大事なのは勘。前作に何を作ったか、そのときの育ち方はどんなだったか。その後の天候も加味して、肥料の投入量を決めている」
西川は野菜を「厳しい環境」で育てる。つまり、ハウスではなく、露地で栽培する。かつてハウスを2回建てたことがあるが、すぐに壊した。というのも「厳しい環境で育てたほうが野菜はうまくなる。限界の寒さまで当てればもっとおいしくなる」と考えているからだ。
そうやって丹精して育てる野菜も、これまでずっと順調に売れてきたわけではない。最大の危機が訪れたのは、2011年に東日本大震災に伴う原発事故が起きたときだ。柏市でも局地的に放射線量が高くなったことで、売り上げは10分の1にまで下がったことがある。ただ、時間の経過とともに、一度離れていったお客さんは再び戻ってきた。いまでは売り上げも原発事故前に戻っている。このことは、西川の野菜が他に代えがたいものとして高く評価されていたことを意味する。

有機栽培よりお客さん

ところで、西川は以前、有機栽培に凝っていた時期がある。当時は有機JAS認証を取得するため、講習会に通った。だが、しばらくしてやめてしまった。有機JAS認証を取る手間の大変さを思うと、とても規模を拡大できないからだ。ただ、それ以上の理由として、顧客満足を踏まえれば、有機栽培は向いていないことを身をもって知ったことがある。西川は主張する。
「まず言いたいのは、そもそも農薬は悪ではない。人が病気になったときに薬を飲むのとなんら変わらない。きちんと使っているなら、決して安全を脅かすものではない。それから肥料だが、堆肥だけでは後半に窒素が切れてしまうことがある。そのときはすぐに化成肥料を投じなければ、野菜は窒素不足で硬くなる。ただ、そんな野菜はお客さんには出せない。昔、それで欠品させたことがあった。そうしたら、その店ではすぐにその野菜を使った料理がメニューから外された。だから、お客さんの信頼に応えるならば、むしろ化成肥料は必要」
西川の農場には顧客であるレストランやスーパーのシェフや仕入れ担当者らが訪れる。ときにはレストランがそのお客さんを連れてくることもある。いずれの場合でも、西川はなぜ化学農薬や化学肥料を使うのかを説明する。そうすれば「その必要性をわかってもらえる」と言う。

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