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新・農業経営者ルポ

日本における中国野菜の源流



取引相手は「料理がうまい店」

野菜を取引しているのは30ほどの飲食店や市場に加え、東京や千葉、茨城にあるイトーヨーカドー9店舗や柏市に本拠地を置く京北スーパーなど。イトーヨーカドーには同社に直売コーナーを置く千葉県の農家グループ「畑直組」を通じて卸している。イトーヨーカドーと取引するようになってからは、先方の求めに応じてキャベツやブロッコリー、オクラなど一般的な野菜も作るようになった。
幅広い出荷先を持っているとはいえ、誰とでも取引するわけではない。基本的には「ここはうまい料理を出す」と確かめた店だけだ。だから、取引をする前にはその店を訪れて料理を味わうようにしている。また、旅行するときにはプライベートであっても欠かさずに名刺を持っていく。ここぞという店に出会ったら、中華料理店でなくても店主に名刺を手渡す。そして、旅行から戻るとすぐにその店に自分の野菜を宅配する。新たな取引につながるかもしれないからだ。
「自分が作った野菜がぞんざいに扱われるのが嫌なんです。おいしいんだから、料理してもおいしいまま出してもらいたい」

プロと真剣に付き合う

この話からわかるように、西川は「出会い」と「つながり」をとても大切にしている。また、「プロの仕事」を尊重している。それは西川の経営の礎といえる。
たとえば、西川は取引しているレストランや小売店にときどき食事に行ったり、食材を買いに行ったりする。また、使うトラクターは井関農機製だけ。それもなじみの茨城の店舗からしか買わない。
それから農業機械は壊れても、自分で修理することはない。すべて専門の業者に任せる。堆肥や苗も自分で作らない。すべて古くから付き合いのある農業資材会社から仕入れている。
「だってプロは毎日作っているわけですから。農家が作った堆肥なんてですよ。まるで話にならない」

経営はさらに大きな流れへ

集荷場を後にして、筆者らは軽トラックで20分ほど離れた場所にある畑に向かった。西川が持っている畑で面積が最も大きいのは80a、最も小さいのは660平方m。こうした不ぞろいの畑が柏市と我孫子市に点在している。
訪れたのは柏市と我孫子市のちょうど境にある利根川の遊水地。本誌にときどき登場する染谷実氏の大規模農場は目と鼻の先の距離にある。西川は最近になってこの辺りの農地を買い取り、父親の時代から面積を6倍に増やした。その理由は2年前に長男の裕幸(25)が後継者として入ってきたことにある。

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