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特集

青果の真のおいしさを追求する都心の小売業


お客様自身は、意外と自分は何が欲しいのかわからないものです。たとえば以前、テレビ番組でバナナがいいと言えばバナナ、納豆がいいと言えば納豆が売り切れる、ということがありました。また、戦後、刷り込まれた価値基準もあります。たとえば、牛肉ならA5、A4の霜降り肉、コメならコシヒカリといったことです。自分自身の感性に照らし合わせて、自分にとっての価値が何か、明確にすることができなかったのだと思います。
しかし、それがいま、マーケットが潜在的に持っていたニーズが、顕在化してきていると感じます。私たちは、「本当は、それが欲しかったんだよ」というお客様の感性を感じて、その潜在的にあったニーズに合わせた店づくり、商品づくりをしています。
その一つの形が昨年オープンした六本木店であり、いま、オープンを予定している店舗です。
よく、講演会などで「福島屋は、誰をターゲットにしているのか」と聞かれます。私は、そんなとき「神をターゲットにしています」と答えます。そう言うと、やはりみんなに引かれます(笑)。私が言う「神」というのは、人の「感性」です。人が根本的に持っている「感性」というものを真剣に捉える追求が潜在的ニーズを捉えることだと考えています。言い換えれば、私たちのターゲットは老若男女、年齢、収入の別ではなく、日々、豊かに過ごしたいと考えている人々、そのなかで、食が大事だと思っている人々です。

【おいしいという感動を持てる食を提供する】

顕著になってきた潜在的ニーズには、「お客様は、おいしいという感動をしたい」ということがあります。私たちは、それを提供できるような生鮮品と加工品の販売を展開しています。
私は、土や自然を相手にしている農業経営者を尊敬しています。農業経営者の中には、有名ではないけれどすごい人たちがいますよね。そういう人たちがつくったちゃんとしたコメや野菜は、おいしいという感動を与えてくれます。こういう人たちの考え方によって、世の中が少しずつ変わっていくのかなと感じています。
私たちがお付き合いしているお客様は、銘柄というより、そういう生産者がつくったちゃんとしたコメや野菜、肉などに反応します。たとえば、コメであれば低アミロースの食味の良いもの、牛肉であれば健康的な牛の赤身の肉などに最近は反応して、どんどんそちらに向くようになってきていると感じます。
おいしい食味が大前提ですが、それを従業員にわかりやすい基準として数値に置き換える取り組みもしています。8年前ほどから野菜のえぐみの元になる硝酸態窒素の数値を測り始め、店頭で野菜の価格表示と合わせて掲示しています。その取り組みは、仕入れ先の生産者さんとコミュニケーションしながらやっています。

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