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一方、お弁当やお惣菜は、吟味、検討、研究など多くの面で、私たちの判断を反映できます。生産と加工と販売の三位一体でやりくりできるので、無理なく利益を上げることができます。私たちだけが利益をあげても続かないので、原料となる素材については、何軒もの生産者さんとオープン価格で取引しています。
いわゆる六次産業化という言葉がありますが、それに当てはめるのではなく、もともと昔からあった形、農家がコメをつくり、麹屋さんが麹をつくり、酒屋が酒をつくるといったことと同じことをしています。
この一連のプロジェクトのビジョンを共有化し、ディレクションする役割は私たちにあると思っています。また、それによって得た利益は、関係者の間でオープンにして、公平に分配することが必要です。一人勝ちのビジネススタイルの時代は終わったと思います。でも、人間は、恐怖心があるので、利益がとれるときはとろうとする。それが、ビジョンに到達できない理由だと思います。
そう考える背景を話しますと、現代は資本主義的な分業や現場効率主義にシフトしすぎました。分業からの脱却というものが必要だと思います。自己都合ばっかり考えて、どうやったら儲かるのかだけを強く意識しているとうまくいかないでしょう。
一緒に組むのはつくったものがどうマーケットで役に立つのか、どういう影響があるのか、自分と同じ意識を持っている同類の人たちです。その人たちと組んだときに、豊かさを分け合うことができるだろうと思います。現実は違うという人にはできないでしょう。
私がライフワークとして考えてきた福島塾というものを約2年前に始めました。小売業、生産者、メディアが参加しています。そのなかで、小売業同士がネットワークした販路をつくりました。地元で生産と加工をし、地域を超えてその製品を小売業が販売をするという仕組みです。困難はたくさんあります。でも、自分のことばかり考えるのではなく、継続的に話し合いを持っていけば、必ずうまくいくと思います。
食が多くの方々に健康はもとより、これからの可能性や感動、生活における感謝などのきっかけになっていったら幸いです。
福島徹(ふくしま・とおる)
1951年東京都出身。大学在学中、家業のよろず屋を継ぎ、酒屋、コンビニを経て、85年に現業態の食品スーパーマーケットへ転換。
(株)福島屋代表取締役会長、(株)ユナイト(外部に向けたビジネス。卸しやコンサルティングなどを行う会社)代表取締役社長
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