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シリーズ水田農業イノベーション

食料自給率とトウモロコシ国産化の寄与度 ―新しい農村の未来像が見えてきた―


水田地帯と畜産の産地が隔離していて粗飼料の流通がうまくできないと言う議論があるが、全く説得力がない。北海道はもちろん、栃木県那須青木地区、熊本県菊池の3大酪農地帯でも、水田裏作の牧草生産はない(これらの集中地区では流通可能なはずだ)。これまで、米価が高かったため、「裏作」と言う発想がなかっただけのことではないか。これからは所得創出を求めて、耕畜連携の動きが出てくるであろう。

水田農業のビッグ・イノベーション

水田農業対策は、多様な戦略がある。従来、固定観念から、発想がなかっただけである。政府は近々、「食料・農業・農村基本計画」を発表するであろうが、食料自給率目標は10年計画であるから、農村現場の先端的動きも視野に入れるべきである。もし食料自給率を高めたいのであれば、先進的農家の取り組みに学び、トウモロコシの国産化や、水田裏作のライ麦生産を検討すべきであろう。
飼料用米への高額補助金は、輸入トウモロコシの削減につながり、輸出国アメリカからのクレームはあるかも知れないが、WTOの現行ルール上は問題ない。問題はむしろ国内の財政負担の大きさであり、もう一つは新しい農業の芽を摘みかねないことだ。
水田農業は本誌昆吉則編集長が強調するように、イノベーションが進行していく。コメと言う特定作物の単収増加や栽培技術の変化ではなく、作物間の垣根を超えた経営の大イノベーションと言う意味で、筆者は「ビッグ・イノベーション」と呼ぶことにしている(拙稿「水田農業のビッグ・イノベーション(1)(2)」『週刊農林』2014年10月5日号及び15日号参照)。
その引き金を引いているのが、米価の下落と農家の高齢化・後継者不足である。ビッグ・イノベーションの進行で、農業の新しい未来像が見えてきた。現場の農業経営者自身がその推進者である。政府の役割は未来を見据え、民間の経済主体の自立発展を促すような条件整備をなすべきである。障害を取り除くのが政府の仕事であろう。法外な飼料用米への交付金は、米価暴落対策と言う緊急避難的な側面はあろうが、長期化は如何なものか。3年程度ではないか(トウモロコシ国産化に取り組む農家の畑作技術体系の技術取得にもそのくらいの期間は必要であろう)。先端的農家の取り組みに学び、転作助成等による政府介入は新しい農業の芽を摘まないようにすべきである。

注:日本で生産されているトウモロコシ(デントコーン)は、現状はサイレージ用であって、まだ実取りトウモロコシの国内生産はない。しかし、先端的農家は米価下落の予想から、水田転作としてデントコーンの国産化に取り組み始めている。2014年実績、約50戸、約200ha)。

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