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今月の数字

4日/14日(国内マコモタケと台湾産輸入マコモタケの日持ち日数)

マコモタケというイネ科の農産物をご存じだろうか。
水稲のように水田で栽培されたマコモは、生長すると葉の高さが約2mになる。この根に近い部分の茎が食用菌の寄生によって肥大したものがマコモタケであり、緑色の外皮を2~3枚はぐと直径約3cm、長さ20cm前後の白い軟らかな筒状の部分が現れる。
味は何ということもないが、食感はタケノコとアスパラガスを合わせたような独特のシャクシャクとした歯ごたえがある。中華料理ではカシューナッツや鶏肉とのみそ炒めや塩炒めなどに使われ、高級食材としてキロ1200~1500円で輸入物が調達されていた。
日本でもマコモタケは歴史が長く、イネよりも古い穀物だったようだが、食用よりもどちらかといえば葉の部分を乾燥したが神事で用いる敷物や酒樽の包みとして利用されてきた。しかし、2000年ごろから中山間地域の耕作放棄地対策として注目されるようになり、現在では、熊本、佐賀、鳥取、岡山、愛媛、和歌山、奈良、三重、滋賀、愛知、岐阜、長野、福井、石川、富山、新潟、栃木、群馬、茨城、千葉、福島、宮城、山形、秋田、青森……と、全国で栽培されている。
私も7年前、ある地方で栽培を始めたマコモタケの販路開拓をサポートしたことがあった。農産物としての取り扱いは厄介である。収穫期間が短く、鮮度が落ちるのが早い。収穫適期は2~3週間だ。せめて1カ月~1カ月半収穫が続けば中華料理チェーン店で取り扱えるのだが、西南地方で早く植えられたものでも中部地方でもなぜか収穫が始まるのが同じ9月中旬以降になるため、リレー出荷が難しい。チェーン店ではなく個店に販売するとなると、配送料を抑えるのにある程度まとまった量を出荷したいところだが、鮮度が落ちるのが早く、「高級食材」として出すには3~4日が限界であることから、大量に使う店でなければ条件が折り合わない。タケノコと異なり、水煮や冷凍などの加工を加えると食感はまったく別物になり、価値を失ってしまう。チェーン店とやりとりを続けながら、他地域でわずかに栽培されていた違う品種を導入して収穫期をずらすか、新たな冷蔵方法を導入するかというところまで検討したものの、産地間連携までたどり着かず、生産者も地元行政もそこまで面倒なことをするより直売所で売れるうちは販売し、売れ残りは総菜に回すということになった。

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