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特集

裏読み農協改革


それだけではない。今年1月19日に開催された産業競争力会議の実行実現点検会合で甘利経済再生担当大臣は、「農業関係者と話をすると、とにかくそこそこやっているのだからあまり大胆なことを考えないでほしいというニュアンスが伝わってくる。しかし、10年前に13兆円あった生産額が今8兆円に落ちていてどんどんジリ貧になっていく中、それを補助金でし続けることは、日本政府としてはもう無理である。他方、日本の農業にはポテンシャルがあるのではないか。やはり背水の陣にならなければダメだということを言っている」と発言している。
こうした発言が官邸サイドからあれば、コメの生産者のみならず飼料用米生産振興策がいつまで続くのか疑心暗鬼にならざるを得ない。つまり、いまのコメ政策がいつまで続くのかの保証はどこにもないのであって、農協改革もその延長線上にある。

【共同計算方式は限界に、
農協はコメの買い取り制に】

いくつかある農協改革の中で、コメ流通業界が最も関心を寄せているのが全農系統のコメの共同計算方式がどうなるのかという点である。共同計算、いわゆる共計は全農系統にとっては長らく組織の生命維持装置の役割を果たしてきた。全量委託販売方式を支える共計が農協改革案の中にあるように、「全農が株式会社組織」になった場合、独禁法に触れる恐れがある共計は存続できなくなる。コメ業界にとって全農系統の共計が続くのかなくなるのかでは、コメの世界の様相そのものが違ってくる。
コメの集荷現場では、その年に生産されたコメをいくらで集荷するのかは、商人系は全農県本部が生産者に提示する「概算金」を目安に集荷価格を決めている。概算金はいわば生産者に対する前渡金で、これが成立するのは全量委託販売法による「共同計算」方式というシステムが存在しているからである。この共計は農協系統にとってたいへん便利な制度で、売れた価格でしか最終精算しないため、農協はノーリスクである。
この共計ができなくなると、農協はコメを集荷するのに商人系と同じく買い取り制になり、自らのリスクで集荷・販売に臨むことになる。コメ単独の収支を計上するということになれば、そのリスクを最小限に抑えようとスピーディーな経営判断が求められ、農協はコメ部門を切り離して別会社として株式会社組織でコメ事業を展開することになる。
そうなるとこれまでのような全農が一本化した相対販売価格ではコメはさばけない。自らの経営判断でコメの価格を決めてさばいていく。当然、そこにはリスクが発生することからリスクヘッジする市場が必要になる。

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