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【小麦利用で高品質に仕上げる】
大豆の乾燥調製の“ワザ”
- 編集部
- 2015年04月28日
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求められる
大豆の品質とは
我が国の農産物検査では、大豆の場合、粒度、形質、被害粒等(しわ粒、汚損粒など)異品種粒、水分、容積量がその検査項目である。たんぱく質の割合など、外観検査以外の成分評価は需要者側で必要に応じて独自に行なわれている。
2014年産大豆は、農林水産省の発表によれば2月末の段階で203万3000tが検査を終えた。そのうち普通大豆の一等比率は、大粒で35%、中粒で38%、小粒で25.4%、極小粒で30.6%。2等以下に格付けされた主な理由は、形質で51%、しわ粒で21.6%という。
いずれにしても、豆腐や納豆に加工される前に必ず洗うのだから、大豆も成分評価を重要視する声もあるが、現状、買い手側は食べ物に汚れがついているということに特に注意を払っているそうだ。この点を今城氏はこう説明する。
「大豆で買い手からクレームがつくのは選別ではなくて、だいたいは汚れ。大豆自体が一等のものであっても、汚れていたら特定加工にも入らない。だから、絶対に汚れがつかない状態にすることが肝心なのです」
内部品質を上げる努力はもちろんのこと、高品質のまま出荷するためには乾燥調製にも手をかけなければいけないというわけである。
調整2番麦を
利用した乾燥方法
今城氏の乾燥調製施設は建屋から貯留タンクなど、ほとんどが自前の手作りだ。どんな材料でも、水分や汚れの状態に応じて工程を調節して、仕上がりを揃えるための構成になっている(図1)。乾燥機8基(80石6基、100石2基)と大豆クリーナー4台がその中心的存在だ。
まず、運ばれてきた大豆はダンプから、別棟の受け入れホッパーに空ける。粗選別をかけた後、搬送コンベアーで乾燥調製施設に運ばれ、乾燥機に向かってラインを進む。乾燥が仕上がると、タンクに移される。このタンクは乾燥直後の温かい状態の大豆が、まるで汗をかくような状態でも、その水分を放出できるように木質でつくられている。タンクで冷ました後、クリーナーにかけ、精選機を通って、選別、計量する。
大豆のなかでも、小粒を除く白豆、黒豆、小袋販売をするものは、乾燥調製段階から吟味した作業を進めるのが今城氏のこだわりだ。そこで一役買うのが、調整2番小麦。クズ麦と呼ばれることもある。あらかじめ水分を10%以下に乾燥させておき、大豆の乾燥時に混ぜて一緒に乾燥させることで、水分が大豆から小麦に移すのだ。
北海道農業研究センターの井上慶一氏が開発したこの手法を、約10年前に採り入れてやってみたところ、品質向上と燃料費の削減という両面の効果を実感できたという。
「早い時期ですと、燃料費はすごく安いです。極端に言うと、乾燥機のバーナーを使わなくても、17~18%程度の水分状態であれば、大豆からクズ麦に水分が移行するので、乾燥するんですね。とにかく、モノは傷まないですよ。通常、乾燥機で大豆が回っていると、とにかくうるさいでしょ。だけど、小麦を挟むとぜんぜん音がなくなります。クッション役をするんですね」
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