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小麦利用で高品質に仕上げる

大豆の乾燥調製の“ワザ”


80石の乾燥機で乾燥する場合、投入するクズ小麦はフレコン3本分、約3t。小麦は大豆の隙間に入り込むので、全体の容積は増えない。つまり、大豆の乾燥容量はそのままで、同じ時間でもゆっくり時間をかけて乾燥させることができるのだ。
大豆の皮は小豆など他の雑穀とは異なり、網の目になっているため、表面の皮全体から水分を吸って、あるいは放出する。熱風乾燥で水分を蒸発させるより、大豆に接した小麦に水分を移行させるほうが、表面の皮がきれいな状態のまま仕上がるそうだ。さらに点汚れ程度なら、クリーナーの役目も果たす。
水分14.5%程度に乾燥された大豆を、精選機で大豆と小麦に分離する。小麦はリターンコンベアーで乾燥機に戻り、再び乾燥して次のロットの乾燥に用いる。2~3年は繰り返し使い回している。いわば、植物由来の乾燥剤といったところである。
原料がクズ小麦であることから、一見、容易に普及できる技術だが、そこに立ちはだかるのが「面倒くさい」ハンドリングである。通常、乾燥機や精選機からフレコンに取り出す作業が発生してしまう。繁忙期のひと手間、ふた手間は、できれば増やしたくないものだろう。今城氏の場合、コンベアーを工程とは逆方向にも稼動できるようにしているため、対応できるのだと話してくれた。良い技術とわかっていても、即採用とならない理由はここにあるようだ。

完璧に汚れを落とす
クリーナー

乾燥工程に続く調製にも力を入れている。大豆の時期に24時間稼動し続けるのは、4台の大豆クリーナー。とにかく、完璧に汚れを落とすという。外観は齋藤農機製作所のドライクリーナーだが、内部を今城氏が改造したスペシャル機である。
メーカー純正のペーパーはメッシュ状態のものに石を吹き付けているので破れやすかった。頻繁に交換しなければならず、ペーパー代も馬鹿にならない。そこで、布やすりの頑丈なものを自作することにしたのだ。ペーパー1セット1000円台とランニングコストを抑えている。
さらにゴミ抜きを下位置から上位置に付け替えた。これらはメーカーに提案しているが、商品化には至らず、改造を引き受けることもある。
大豆の水分は17~18%程度で最も汚れが落ちやすいのだが、ストックホッパーが必要になる上に乾燥工程を2回に分けるとなると、手間がかかり過ぎるため、乾燥後にクリーナーをかけている。1基当たり約120kgの大豆は、汚れに合わせて30分から1時間かけて丁寧に汚れを落とす。選別段階まで進んでも、汚れが落としきれていないと判断すれば、リターンさせて、再びクリーナーにかけることもある。そこまでやってこその、全量一等級なのである。

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