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小池 住民が上品な地域コミュニティーを守ってきたので、風俗店もパチンコ店もゲームセンターもないんです。文化水準が高くて、皆さん土地を持っていらっしゃるからだと思うんですけど、うちの売れ筋は魚沼産の特別コシヒカリで、売上構成比で言うと1割前後あります。
昆 いいお客さんが揃っていらっしゃるんですね。お米屋さんとしては、業務用あるいは家庭用にお米を配達するという形ですか?
小池 売上は7割くらいが業務用で、3割が家庭用。そのほとんどが配達です。お店に来てお米を持っていく人なんて、1kgとか2kg、場合によっては「3合ください」とかですよ。圧倒的に地域のお客様が多いです。最近、配達料は?と聞かれるようになって、それで、配達料は無料ですってわざと言うようにしてるんです。本当は含まれているんですけどね。
昆 精米は全部お店でやっていらっしゃるんですか?
小池 はい。14馬力の精米機が店の奥にあって、そこで精米しています。白米のトラブルとかも説明できないことはやりたくないので、そこは、僕の存在意義も含めてやろうと。そうじゃないと精米店の看板を下ろさなきゃならないですから。
昆 東京には精米機を置いていないお米屋さんも結構あるでしょう?
小池 ありますね。それはそれで新しい売り方だからいいと思うんですけれど、うちは祖父の代から精米店ですから。子供の頃は確か循環式だったので、フタがカタカタカタって動いていたのを覚えていますよ。
昆 精米機の大きさというのは、精米の品質に関わるのですか?
小池 糠切れはいいですよね。そこに尽きるかなと思います。父は機械好きなので、狭い店舗ですけど機械と機械の間に余裕があって、メンテナンスもしやすい設計になっているんです。私は機械に強くないので、今考えるとありがたいですね。
昆 店舗としては小さいのに精米機が非常に大きいというのも、お父さんが選んできたことなんですね。
小池 その父が言っていました。いいお米を仕入れて、精米しておけば、お客さんがついてくると思っていたと。そういう時代でしたから。
【米屋を継ぐと決めた理由】
昆 そもそもお父様の米屋を引き継ぐつもりだったんですか?
小池 僕は米屋を継ぐ気はほとんどなかったですね。父は町や商店街の活動とかはかなり熱心にやっていましたが、まぁお米については……。
昆 積極的には後を継ぐことを求められなかったんですね。
小池 そうですね。子供の頃は農家と触れ合うということもなかったですし、私自身も大学は文学部に入って、その後、小さな出版社で編集の仕事をしていました。でもその会社は正直退屈だったんです。それで、やらなくてもいいのに、社会保険労務士の資格をとって、独立を視野に入れて人事コンサルティングファームに転職しました。
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