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編集長インタビュー

農業の仕組みを変えたいという思いは変わらず、農家の待遇のボトムアップが今後の目標

農業は儲からない――。この状況をなんとかしたいと、東京農業大学在学中から農業関連の仕事に就くことを切望してきた。やがてその機会を自らの起業というかたちでつかむ。農家の営業代行とともに、小売業への農産物直売所の設置導入コーディネートというビジネスは、2009年に小社が開いた第1回A‐1グランプリの奨励賞にもつながった。それから6年、起業への思いを改めて確認しつつ、現在、そして今後の目標を聞いた。                      (まとめ/鈴木工)

農業の仕組みを変えたい

昆吉則(本誌編集長) 及川さんには2009年に小社が開いた第1回のA‐1グランプリ(農業ビジネスプランコンテスト)に出場していただきました。そこで農協系のファンド会社から気に入られて、グランプリの次の賞である奨励賞を獲得されましたね。
及川智正 その節はありがとうございました。あれは独立して2年目のときですね。
昆 ただその後、地元からクレームが出て、受賞がキャンセルになるというご迷惑をおかけしました。あれは忘れてはいけないことです。地域農業を変革するテーマなのにもかかわらず、「あいつはまずい」という批判が農業界から出たわけですから。今回はあのプレゼンに戻って、農業への思いをもう一度お話しいただければと思います。もともとは非農家で農業にあこがれを持っていたんですよね?
及川 はい。東京農大で農業経済学を学んでいました。100年後の農業がどうなるのかを検証すると悪いデータしか出ないので、これはまずいんじゃないのと危機感を感じて、農業関係の仕事をしようと思っていたんです。でもバブルもはじけて、大学生活はお酒ばかり飲んでいたものですから、就職先がなかった。そうしたら東京の半導体系企業が拾ってくれて、6年間栃木で営業をやっていました。一方で、農業の仕組みを変えたいという気持ちも残っていたんですけど、現場で取り組まないことには説得力がない。そんなとき、和歌山で普及員の仕事をしていた妻と結婚したら、実家が農家だったこともあって僕が寿退社をしまして(笑)。義父の下でキュウリ農家を始めたんです。
昆 やってみてどうでした?
及川 1年間やって思ったのは、なんてつまらないんだろうということです。サラリーマン時代にお客さんから「ありがとう」「よろしく」と言われてモチベーションが上がっていたのが、ここでは100%農協出荷だったので、伝票をもらって終わりなんですよ。

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