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昆 発展のきっかけは何かあったんですか?
及川 バーコードシールはスーパーごとに異なって、発券が面倒なんですよ。それで一つの発券機から世界中のスーパーのバーコードシールが発券できるシステムを構築したところ、農家さんに喜ばれ、さらにいろんなスーパーと取引できるようにもなりました。農家さんが自由に値段を付けられるようにしたのは、僕は農家さんをメーカーだと思っているからですね。好きなものを作れて、価格の決定権がある。いままではメーカーというより、下請けが多いですけど。
昆 儲けはどう分けていますか?
及川 委託販売で、売上の65%は農家さん。残りを当社とスーパーで折半します。スーパーはだいたい15%で、利益としては少ないんです。でも、田舎では直売所が増えていて、この仕組みを導入するとそこに取られたお客さんを呼び戻せる。それと、集客が増えた結果、肉や魚の売り上げも上がりますし、商品が入る時間帯に集客がピークになって、レジの稼働率が高まって経費削減になる店もあります。あとは店頭で展開することで、他の商品も新鮮に見える効果があって、店のブランド向上にもなりますね。
昆 スーパーの野菜売り場って儲かるものじゃなくて、客寄せですからね。
及川 売り先はスーパーだけではなくて、農家さんが希望されるのであれば、当社が買い取って、卸したり、市場に持っていくこともあります。つまり、集荷場に持ってきていただければ、ワンストップで自由に流通を選べるわけです。
当社は地元の直売所より手取りは悪いけど、たくさん売れる。市場より売れないけど、手取りはいい。直売所と市場の中間ですね。個人的に一番いいのは市場流通だと思いますが、それしかないことが問題です。
それと、集荷拠点と販売拠点が離れているので、農家さんは自分の商品が売れているのかわかりません。そこで、スーパーから受け取ったデータを加工して、農家さんに売上情報をフィードバックしています。どこでどれだけ売れているのかだけではなく、売れ筋や売れ残り、隣の人や市場がいくら売っているのかという情報も送ります。
昆 農家はどれくらい利用しているんですか?
及川 いま、登録だけで約5000人です。産地は、北が埼玉、南は沖縄まで。来年には北海道まで広げたいと思っています。売り先は都会のスーパー中心で、約460店舗。スーパーに喜ばれるのは、集荷拠点が全国に50カ所あることですね。スーパーも産地を選べるので、端境期でも商品の偏りをなくせます。全部自社でやりたいんですけど、そこまで資本力がないので、地元の会社と集荷業務を提携しているところです。兵庫はバス会社、淡路島は人材派遣会社、奈良は生産法人と配送会社、長野は倉庫業……というような具合ですね。これには地元の信用が得られるメリットもありますね。
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及川智正 オイカワトモマサ
(株)農業綜合研究所
代表取締役
1975年東京都生まれ。98年東京農業大学農学部(現・国際食料情報学部)卒業後、半導体用産業ガス専門商社に入社。2002年結婚を機に妻の実家がある和歌山県に居を移し、新規就農。施設園芸を行なうとともに独自の販路を開拓する。05年エフ・アグリシステムズ株式会社関西支社設立。07年10月株式会社農業総合研究所を設立。先の第1回A-1グランプリに出場し、奨励賞を受賞した。
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