ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

編集長インタビュー

農業の仕組みを変えたいという思いは変わらず、農家の待遇のボトムアップが今後の目標


会社を始めて地元の組合にご挨拶に行ったときも、「お前のような奴が来るから地域社会が乱れる」と口汚く罵られましたから。いまからたった10年前の話ですよ。「及川の会社を使ったら取引をやめる」と、運送協会に圧力もかかりましたし。でも、新しいものを排除したがるのは当たり前なので、早く大きくなって対等の立場に立つしかない。それがあるからいまがあるわけで、感謝しています。
昆 ケンカをしても根に持たない。その太さが経営者の力ですよ。

新規就農者にお金を出すなら
地元産を食べさせる
消費側の教育に回すべき

昆 農家との付き合いが多いと思いますが、最近は新規就農者が多くて、資金ももらえる。会社を辞めて天から150万円が降ってきたら、僕は寝転んじゃう(笑)。その点はどうお考えですか?
及川 出すのであれば、地元のものを食べなさいという消費側の教育に回すべきだと思います。。ドイツの友人が「日本人は地元のもの食べないよね」と言うので、「いや、最近は地産地消があるんだよ」と答えたんです。そうしたら、「何それ? ドイツ人は地元のリンゴしか食べないよ。散歩道にはリンゴ畑が広がっている。その風景を守るのに、地元のものを食べるのが当たり前だと考えているんだ」と言われました。これには差を感じましたね。こういう教育の部分にお金を使わないと、いつまで経っても変わらないでしょう。
昆 そう。壁を立てることで守るんじゃないんですよ。「守れ」じゃなくて、人々が楽しく、守りたくなるような仕組みを作るべき。それも役人に頼るのではなく、商売人の感覚で作り上げていく。
しかし、及川さんの視点は、商社にいた人がスピンアウトして「農業が儲かる」という視点と違っていてうれしいですね。いま、いろんな企業が農業に乗り出してきて、何を考えているんだろうと思います。コメを作るなんて、資本回転率が年に1回ですよ。それが果たして上場企業で許されるのか。株主代表訴訟を受けてもおかしくない(笑)。農業にかかわるのはいいとしても、儲からない生産に直接入っちゃいけないのに。
お天道様と与えられた条件の下、生産を最適化する。その意味合いでは、科学者も優れた農家にはかなわない。企業の支援は必要ですけど、もっと勉強してから参入するべきですよね。

農家の待遇の
ボトムアップを目指す

昆 今後の展望は?
及川 まず大きな考えとしては、農業は胃袋と心を満たす仕事なので、世界からなくなっては困ります。だから、農業がなくならない仕組みを作りたいです。

関連記事

powered by weblio