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第1回 国際食料・農業政策アカデミックカンファレンス

世界のジャポニカ米と日本産米の競争力

去る2月13日に宮崎県宮崎市で「世界のジャポニカ米と日本産米の競争力 」をテーマに掲げた国際学術調査研究の報告会が開催された。日本の研究者に加えて、世界的に著名なコメの研究者である米国・アーカンソー大学のE.ウェイルス教授、韓国・高麗大学のD. B.ハン教授が招かれ、講演した。2回目はセッション3の「世界のジャポニカ米の政策と流通」から、「国際コメ需給とジャポニカ米の現状」と題した九州大学大学院の伊東正一教授の報告と、インド国際経済関係研究所のG.アショック氏の調査したインドのコメ概況を取り上げた。 (取材・まとめ/加藤祐子)

セッション3
世界のジャポニカ米の
政策と流通

(1) 国際コメ需要とジャポニカ米の現状 ~円安と国内相場弱含みで日本のコメに国際競争力
(九州大学大学院農学研究院・教授伊東正一氏)

この報告のポイントは、世界のコメ生産と流通、国際ジャポニカ米価格の高騰、日本産米の国際競争力、韓国米の現地状況の4つである。それぞれの項目別にまとめる。

●世界のコメ生産と流通
世界の食糧(コメ・コムギ・コーン・大豆)の1961年~2014年までの生産状況を図1に示した。60~70年代はコムギよりトウモロコシのほうが多かった。それに比べて、その後のトウモロコシの生産量の増加は驚くべき状況である。エタノール生産などの需要が増えたわけだが、国際価格が低いと生産量が減るというように、世界中の農家が経済の感覚を持って農業をしていることが言えるだろう。
このような状況は逆に価格高騰による生産拡大も引き起こす。06~14年の間の変化を眺めてみると、人口は10%伸びておらず、現在は世界で約72億人。その間にコメの生産量は14.3%伸びて、コムギが20%、そしてトウモロコシが40%近くも伸びて、10億tに届く勢いを示している。大豆も3割近く伸びている。
コメは90年代後半に価格が高騰し、もの凄く速いスピードで増産となった。しかし、需要が追いつかないということで、00年前後にかなり暴落した。今も値段が下がりかかっているなかで増産しているので、価格の下落を懸念している。
世界のコメの貿易量を図2に示した。ジャポニカ米もインディカ米も合計した量だが、06~15年までは値段が高く、急速に伸びている。
08年はインドをはじめ、いろいろな国が品種を出して、値段が高騰した。インドは特に変化が非常に大きかったが、輸出禁止令を出したところ、国内価格が暴落して、輸出が避けられない状況になり1000万tを超す輸出に転じた。ちょうどタイが輸出政策に失敗したタイミングと重なり、インドは2年間、世界第一位のコメ輸出国になった。

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