ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

第1回 国際食料・農業政策アカデミックカンファレンス

世界のジャポニカ米と日本産米の競争力


また、韓国では今年の1月から関税化を始めた。既に韓国からも沢山の農産物の輸出はあるので、日本のコメを韓国に輸出すると面白い結果になるのではないだろうか。韓国でもコメの消費量は下がっている。日本のコメと韓国のコメの食べ比べを両国でしていただきたい。
滞在中にソウル市内のスーパーマーケットに出かけてみると、米売り場には精米機が置かれていた。玄米が袋に入っていて、その場でそれを精米機に入れて、提供するやり方があるようだ。日本では米屋ではそのやり方をしているが、スーパーマーケットではそこまでやっているという話は聞かない。店頭価格も日本と変わらない。韓国の稲作農家は力が強く、値段も増加する方向で推移していると聞くが、近隣諸国では、お互いの情報を取り入れながら、輸出入や競争をするのがいいだろう。

(2)インドのコメ概況
(インド国際経済関係研究所 G.アショック氏)※来日を見合わせたため、代理で伊東正一氏が報告した

インドは今、輸出に力を入れているように思う。生産も伸びていて、精米で1億tのレベルに達した。
世界の生産量は中国が1位で全体の約3割を占める。次いでインドが22%。図7は11~12年の数字なのでタイが大きな数字を占めているが、ベトナム、米国が生産を伸ばしている。いずれにしても、インドのコメは世界的に大きな存在になっている。
図8は農業の輸出と輸入、いわゆる純輸出を示す。純輸出とは農業の輸出額と輸入額の差で、外貨獲得の目安を表す。近年、純輸出額が非常に大きくなってきている。これはインドだけでなく、農業国、米国を含めて同じ傾向があり、ブラジルは特に顕著な状況である。この意味では、国際価格の上昇は農業を中心とする発展途上国にとってはむしろプラスになったのではないか。インドもその例に漏れていないことからも、農業が産業として重宝されている印象を受ける。
アショック氏はインドの輸出政策の不安定感を指摘している。08年にバスマティー品種を除く輸出禁止令が出ていたが、その後、輸出拡大路線に転換したことで輸出が伸びてきている。したがって、今後も安定的に輸出拡大が図られるかどうかはわからない。タイは歴史的にも世界最大のコメの輸出国というものの、せいぜい2000万tくらいである。中国やインドなど1億tクラスのコメ生産をしている大国が輸出に本気で乗り出した場合、驚異的なスピードで動くと予想される。
次に図9には国際価格とインド国内のコメの価格を示した。国内価格が徐々に上昇していることがわかる。国内価格が国際価格より高くなると、輸出がやりにくくなる。今後は砕米が25%入ったタイ米の価格と比較することで、輸出競争力を持つための対策を練る必要がある。

関連記事

powered by weblio